5.全部ちゃんとして君に話すよ ページ5
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新山side.
その場に取り残された俺は、暫く動けなかった。Aがあんな顔してでかい声を出すなんて、思ってもなかったから。今にも泣きそうで、悲しそうな顔。そんな顔にさせたのは、他でもない俺や。
『……もう、あんな事するの止めよう？ただの同期は、キスなんかしないもん。…ごめんね、どうかしてた』
Aにとって俺は、ただの同期。じゃあ俺にとってのAは？ほんまに、ただの同期か？
「……っ違うやろ、」
ちがう。初めて会ったあの瞬間から、俺は──…その気持ちに気付かないふりして見て見ぬふりして蓋して押し込んで、逃げるように昨日の子と付き合い始めて。石井の存在に腹立ててやっと自分の気持ちを自覚して、一方的にあの子に別れ切り出して連絡先消して。何や俺、ダッサ。全部中途半端やん。
「……………もしもし、俺やけど。…うん、ごめん。うん……あのさ、今週どっかで会えへん？ちゃんと会って話さして欲しい」
全部中途半端やから、全部ちゃんと向き合う。これが俺の出した答えだった。全部片したら、Aと向き合う。…向き合いたい。手遅れになる前に、ちゃんと。
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「おい」
「……」
「おいコラ、新山」
先週の土曜日、元カノと会ってちゃんと終わらせてきた俺は何故か石井に呼び止められていた。部署違うしA以外で接点ないし(ちょっと前に色々あったけど)、まさか声を掛けられるとは。足を止めて、一応先輩やから何ですか、と返事をする。すると石井ははぁ……とそれはそれはでかいため息を吐いてじろ、と俺を睨んできた。その癖何も言わん。何やねんコイツ腹立つな。
「用事ないんやったら行きますけど」
「……はよどうにかしろ、お前」
「は？何をですか」
「A。先週からずっと変やねん」
先週って、そりゃまぁ色々あったし…と思い返していると俺の表情を見て何かを察したのか「やっぱお前が原因やな」と石井が言う。やっぱ、て何やねん。何で俺にいちいちAの事言ってくんねん。お前も好きって言ってたやん、だったらお前が何とかしたらええのに。俺の知らん所で勝手にしたらええやん。
「振られた」
「………は？」
「腹立つけど、俺じゃあかんねん。ほな頼むわマジで。ずっと辛気臭い顔して使い物にならへん」
そう言って石井はスタスタと歩いていく。言いたいこと言ってスッキリしたのか、その足取りは軽そうに見えた。
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あず(プロフ) - やぴ様 コメントありがとうございます！✨️きゅんきゅんしていただけて安心しました。一気読み嬉しいです！労いの言葉まで…ありがとうございます。番外編ものんびり更新していきますのでお時間のある時にまた読みに来てください！ (2月11日 9時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
やぴ(プロフ) - とても良い作品を書いてくださりありがとうございます✨最近また冷えてきましたので体調等にはお気をつけください。長々と申し訳ございません、番外編も楽しみにしています！♡ (2月11日 1時) (レス) id: f2f4556022 (このIDを非表示/違反報告)
やぴ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。sykのお二人がとても大好きなのでこちらの作品一気読みさせて頂いたのですが、どちらのルートもとてもきゅんきゅんして最高でした…♡本編完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした！→ (2月11日 1時) (レス) id: f2f4556022 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - うゆーな様 コメントありがとうございます！大変失礼しました…ご指摘頂きありがとうございます。本当に申し訳ないです。。更新頑張ります…！ (2月7日 16時) (レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
＃うゆーな. - あと、本当にこの小説好きで！更新楽しみにしてます！！ (2月7日 14時) (レス) id: eb74aaaf07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月6日 22時
