13.本気の先輩 ページ13
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肩が触れ合う。横目で石井さんを見たら、目が合ってしまった。目、大きい。またそんな事を思ってわざとらしく目を逸らす。……謝らないって、なに。別に謝って欲しい訳じゃないけど、………けど。
ひとり、ふたりと人が降りていく。比較的スペースに余裕が出来始めると、石井さんはつと私から離れて横に立つ。何か、……何かさ、あの日の事意識してるのって、私だけなのかな。ついにエレベーターに二人きりになった。あと4階昇ったら、私たちが降りるフロアだ。
｢………石井さん｣
｢ん？｣
彼の名前を呼んだあと、私は別に言葉を考えていなかった。ただ、このまま黙っているのが悔しくて名前を口にしただけ。石井さんは、呼んだくせに何で黙ってるんだ、って思ってる。でも別に、…そう、あの日のことは私だって別に、
｢A、｣
焦れったくなったのか、石井さんが私の名前を呼ぶ。でもやっぱり、何も言葉が出てこない。いつも、どんな風に石井さんと話してたっけ。話し方が、分からない。それもこれも全部、あの日石井さんが私にキスしたから、
｢好きな奴おるって言ったやん、俺｣
｢……はい、｣
｢あれ、お前のことやから｣
分かってると思うけど。そう続けて、石井さんは先に降りてしまった。……あ、もう着いたんだ。あ、やば、私も降りなきゃ。慌てて石井さんの背中を追い掛ける。待って、…待ってよ、もう！この間から勝手な事ばっかりして、私を困らせてばっかりで。こんなに困った先輩だっただろうか。
｢っ、石井さん！｣
思わず大きな声で名前を呼ぶと、石井さんはうるさいでお前、と言わんばかりの顔をして振り向いた。他の人の目もあるけど、もう気にしない。この困った先輩に一言二言言わなきゃ、仕事なんか手につかない。
｢からかってますか、私のこと｣
｢からかってないけど。俺めちゃくちゃ本気やし｣
｢………なんで、｣
｢何で？言わんでも分かるやろ｣
どーでもいい奴なんか飯誘ったりせんわ。
そう言い残して、石井さんはさっさと行ってしまった。一言二言言いたいのは私の方だったのに、結局何も言えなかった。むしろ、石井さんの本気を知ってしまって思わず下唇を噛む。……本気だ。本気なんだ。本気で、石井さんは私のことが好き、なんだ。
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あんこ(プロフ) - あずさん» お返事ありがとうございます✨ええ！そんなふうに言っていただいて嬉しいです😭しかも何回も読んでくださってるとは…！😳モチベーションになります！ありがとうございます！執筆頑張ってください！☺️ (2月7日 10時) (
レス) id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - あんこさん» あんこ様 コメントありがとうございます！お名前を見て飛び上がりました。めくるめく日々もセピアに染まるも大好きです！！😭💙何回も読んでます。続きも頑張ります。ありがとうございます！！😭 (2月7日 7時) (レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 初めまして。さや香大好きで夢小説増えないかなぁと思っていたところにあずさんの作品が目に入り一気読みしてしまいました！🩵🥳続きが楽しみです！✨ (2月7日 1時) (レス) @page31 id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - もちゃん。さん» もちゃん。様 コメントありがとうございます！ありきたりな設定ではありますが楽しんでいただけて嬉しいです。最後まで楽しんでいただけるように頑張ります…！ (2月6日 7時) (レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃん。 - 初めまして。設定も文章も全てが素敵です…！！あまりコメントしないのですが、この作品が好きすぎてついコメントしてしまいました。更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2月6日 0時) (レス) id: 4493b39302 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月4日 12時
