12.あの日のことは謝らない ページ12
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──…アラーム音が、静かな部屋に鳴り響く。重たい瞼をゆっくりと開くと、視界に広がる薄暗い天井。…もう朝か。もう、月曜日か。土日あっという間過ぎる……と、思考しながらゆっくりと体を起こした。今日も寒い。アプリで天気を確認したら、今日も最高気温は10°に届かない。
支度を済ませて、仕事用のバッグに手を伸ばす。今日はこれと、もうひとつ。シンプルなブラウンの紙袋を手に取った。中は、金曜日の夜石井さんに巻いてもらったマフラーとちょっとしたお礼のお菓子。…いるかな、これ。でもあの日寒かったしマフラーあって正直助かったし………とかなんとかごちゃごちゃ考えていたら、家を出る時間になっていたので慌てて飛び出した。
オフィスビルに入ってすぐに、巻いていたマフラーを外した。やっぱりこのコートに似合ってないなって、電車の中で窓に反射した自分を見て思ったから。昨日百貨店に行った時、…石井さんにお礼のお菓子を買いに行った時についでに見て帰れば良かった。昨日は比較的暖かくて、マフラーのことなんてすっかり忘れてた。
｢はぁ……｣
｢でっかいため息｣
エレベーターを待っていたら、背後から声がかけられた。振り向かなくても分かる。この声は、石井さんだ。びく、と肩を竦めながら恐る恐る隣を見る。ばち、と目が合った瞬間、あの日のことを思い出して身体が熱くなってしまった。ただのキスひとつで馬鹿みたいだ、と思う。子供じゃないのだ、もういい大人なのに。
｢おはよ｣
｢……おはよう、ございます｣
｢今日も寒いな｣
｢はい、｣
いつものように、テンポよく返事が出来ない。これは仕方の無いことだと思う。だってあんな事があったんだから。…なのに何で、キスをしてきた当の本人は平然としているんだろう。
ちらりと視線を寄越すと、石井さんは前を見ていた。ほっと胸を撫で下ろす。……あ、石井さんマフラーしてない。そっか、彼のマフラーは今私が持っている紙袋の中にある。悪いことしちゃったな、早く返さなきゃ。でも周りの目もあるし、部署についてからでいっか。
｢……金曜のこと｣
｢え、｣
｢……俺、謝らへんから｣
タイミングがいいのか悪いのか、エレベーターが降りてきて扉が開く。朝の時間はとにかく混むから、一番前で待っていた私と石井さんは後ろからどっと流れ込んできた人達に押されてエレベーターの一番隅っこに追いやられてしまった。
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あんこ(プロフ) - あずさん» お返事ありがとうございます✨ええ！そんなふうに言っていただいて嬉しいです😭しかも何回も読んでくださってるとは…！😳モチベーションになります！ありがとうございます！執筆頑張ってください！☺️ (2月7日 10時) (
レス) id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - あんこさん» あんこ様 コメントありがとうございます！お名前を見て飛び上がりました。めくるめく日々もセピアに染まるも大好きです！！😭💙何回も読んでます。続きも頑張ります。ありがとうございます！！😭 (2月7日 7時) (レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 初めまして。さや香大好きで夢小説増えないかなぁと思っていたところにあずさんの作品が目に入り一気読みしてしまいました！🩵🥳続きが楽しみです！✨ (2月7日 1時) (レス) @page31 id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - もちゃん。さん» もちゃん。様 コメントありがとうございます！ありきたりな設定ではありますが楽しんでいただけて嬉しいです。最後まで楽しんでいただけるように頑張ります…！ (2月6日 7時) (レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃん。 - 初めまして。設定も文章も全てが素敵です…！！あまりコメントしないのですが、この作品が好きすぎてついコメントしてしまいました。更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2月6日 0時) (レス) id: 4493b39302 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月4日 12時
