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──今日はAの声がしやんなぁ。そう思って過ごしていたら、背後からこんな所で寝たらあかんで、とAの相方の声がした。何となくスマホから視線をそっちに向けたら、見覚えのある派手なリュックが見える。え、おったん。嘘やろ、いつの間に。もしかしてAのが楽屋入り早かったんか。
「…熟睡してるやん」
しゃがみこんで近寄ってみても、まるで起きる気配がない。小さな畳の上で体を丸めてすやすやと眠る姿を見て、まじで犬やな、と吹き出してしまった。あー…あかんわ、まじで。寝顔可愛すぎる。やっぱ俺、Aのこと好きなんかなぁ。
「……すき、なんやろなぁ多分」
ぼそ、と無意識に呟いていた。それに気付いたのは数秒後、慌てて口を覆い隠しながらAを見ると……セーフ。相変わらずぐっすり眠っている。疲れてんのかな、最近忙しそうやもんな。暫く寝顔を観察していたら、何だか俺まで眠くなってきた。隣空いてるし、…えぇかな、寝よ。
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「…なんやねんこれ」
翌日、劇場の公式SNSにアップされていた写真を見て目を疑った。俺とAとがくっついて寝てる写真だ。マジで最悪やん、勝手に撮られて勝手に載せられてるし。いやいいけど。いつもそうやし。俺が勝手に載せられる分にはえぇねん、でも……
「いしーいさん。おはようございます」
「あ、はよ」
「…それ、石井さんも見ちゃいました？」
いつもの様に挨拶してくれたAがそれ、と指さすのは俺のスマホだった。という事は、既にAも見たということか。Aは、照れくさそうに笑っている。
「今朝見てビックリしちゃって。石井さん、いつの間に隣で寝てたんですか」
「あー…いや、なんかAの寝顔見てたら眠くなったから…」
「……私の寝顔見てたんですか？」
あ、やばいやってしまった。寝顔見てた、って別に言う必要なかった。俺も眠かったから寝た、ってただそれだけ言えばよかったのに。気まずくなって視線を落とすけど、Aは隣に座ってきてじっと俺の顔を覗き込んでくる。
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
