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「…大丈夫、新山くんは面白いよ」
そう言うと、ふと新山くんの体から力が抜けたような気がした。表情も、さっきより柔らかくなっている。眼鏡越しに新山くんと目が合うと、形の良い唇が弧を描いた。
「Aにそう言われたらなんか…なんやろ、安心するわ」
「いつも言ってるけどね、私」
でも、私の言葉で新山くんが安心すると言うのならいくらでも伝えようと思う。毎日でもいいし、毎時間でも毎分、毎秒、いつでも言うよ。そう思いながら左手を伸ばして新山くんの頭に触れる。セットしてないから、今日も髪の毛が柔らかい。
「こんな新山くんは私しか知らないね、きっと」
「他の誰かに見せてもえぇの？」
もうすっかり、新山くんは元気になったらしい。今の一言で分かったし、表情を見て確信した。にたぁ、って意地悪な顔してこっちを見てる。素直に認めるのが嫌で黙っていると、ちゅ、とほんの一瞬唇が触れた。
「…っここ楽屋、」
「誰も見てないって」
「そういう問題じゃな」
い。と、あとたった一文字言いたかったのに、またキスで封じられてしまった。ジト、と恨めしく新山くんを見ると、さっきまでの落ち込みが嘘のように随分とスッキリした顔をしている。
「あかんなぁ、Aに甘え過ぎてるわ俺」
「…甘えるのはいいけどキスは駄目」
「甘えてはいいんや」
「…だってかわいいし」
ちょっと唇を尖らせながら無言のまま歩み寄ってきて、どうしたのって聞いてもやっぱり無言のまま隣に座って、私に身を委ねてきて。あぁかわいいなぁ、愛しいなぁ、って思うの。私にはこんな弱い所を見せてくれるんだ、って。
end.
エゴサしてメンタルやられちゃったniymさんが甘えてくるお話でした。
押して駄目ならなんとやら＿niym→←毎秒ごと伝えてみせようか＿niym
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
