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──…俺か？俺はAの彼氏や。
誠ちゃんにとって、なんの意味もない言葉だ。私を助けるための、その場しのぎと言っていい。でも私は、そう言い切って助けてくれた誠ちゃんに胸のときめきが止まらなかった。…あぁだめや、言ってしまいそう。好き、って今すぐ言いたい。でももし駄目やったら、今の関係でいられなくなるのが怖いから言えない。
「…嫌な予感してん」
「え…？」
「Aから写真送られてきた時、今みたいな奴に狙われるんちゃうかなって。何であんな奴に連絡先教えたん。教えんなや、断れよ」
多分、…いや絶対、誠ちゃんは私のことを心配して言ってくれているんだと思う。冷静に考えれば分かるのに、誠ちゃんが好きって気持ちと告白したい気持ちと、でも怖いって気持ちと、色んなものがごちゃ混ぜになっていた私は無性に腹立たしくなっていた。
「何で誠ちゃんにそんな事言われなあかんの。前から思ってたけど、誠ちゃんちょっと過保護すぎるよ。私もうそんな子供やないからほっといてよ！」
そう言い捨てたあと、あーあ終わった。と思った。誠ちゃんは何も悪くない。ただ心配してくれただけ。それに本当は、迎えに来てくれたのも助けてくれたのも嬉しかったのに。じわりと浮かんできた涙を見られたくなくて、俯きながら踵を返す。この場から離れたい。そう思って一歩目を踏み出した刹那、腕を引かれた私は誠ちゃんに抱き締められていた。
「…っ誠、ちゃん……？」
ようやく自分が誠ちゃんに抱き締められているのだと理解した頃、腕の力がもっと強くなった。…どうしよう。これって、…これって、
「……好きやから、しゃーないやん。お前から目ぇ離せへんねん、今更」
誠ちゃんの、低い声が鼓膜を甘く震わせた。好き、って…私のこと？誠ちゃん、と小さな声で呼ぶと、ぎゅう、ときつく抱き締められた。
「俺と結婚する、って言ってたよな」
「ぁ、…っあれは子どもの時の話やし、」
「……無しにしてえぇの？」
──俺、本気やけど。そう囁いた誠ちゃんの熱を、私は知らない。
end.
過保護過ぎるisiさんに溺愛されてる話。分かりにくいけどちゃんと溺愛してます。リクエストありがとうございました!
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
