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「はぁ…………」
重い重いため息を吐きながら、最寄り駅のホームに降り立つ。同時にぴろん、とLINEの通知音が鳴る。画面上に現れたのは、別れ際強引に連絡先を交換させられたあの先輩からだった。眉が寄るのも仕方がない。無視しよ、無視。そう思いながらスマホをポケットに押し込もうとすると、今度はLINEの着信音が鳴った。
「しつこいなぁこの人…」
でも一応先輩やし、出た方がいいんかな。…わからん、こういう時どうしたらいいの。はぁ、とため息を吐きながら結局電話を取る選択をした。電話の内容は全然緊急性もないししょーもないし、うわぁやっぱり出なきゃ良かったなぁと後悔しながら、愛想笑いと適当な相槌でやり過ごす。
「あはは、そうなんですね。凄…」
改札を抜けると、視線の先に見知った人物を見つけた。え、なんで………私に気付いたその人──誠ちゃんは、ムスッとした顔をしながらズンズンとこちらに歩み寄ってくる。
「…何してんのお前」
声を聞けば分かる。あ、これガチで怒ってるやつだ、と。でもまだ通話中で誠ちゃんに返事出来ないでいると、困った顔に気付いてくれたのか察してくれたのか分からないがスマホを奪われてしまう。
「──気安くAの名前呼ぶなやボケ。…俺か？俺はAの彼氏や。分かったら二度と電話してくんな、Aの連絡先も消せよ。これ終わったらすぐ消せ、分かったな」
恐らく相手に反論の余地すら与えず言い切ったであろう誠ちゃんは、通話を一方的に終わらせてスマホを差し出してきた。でも、私の手はそれを受け取ることが出来ない。
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
