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「俺とAってさ、…兄妹みたいに育ったよな」
士彦くんがそう言うので、うん、そうだねと頷いてついさっきまで見ていたアルバムを一緒に覗き込む。さっきまでの沈黙が嘘のように、色んな話をした。思い出話が止まない。
「このあと士彦くんが、」
駄々こねて大泣きするんだよね、と言おうとして顔を上げたらほんの数十センチ先に士彦くんの顔があった。思わずハッと息を飲む。真っ直ぐな士彦くんの視線に耐えきれず下に向けても、結局導かれるように顔を上げてしまうのだ。
「…俺さ、Aのこと妹って思ってなくて」
そう囁いたあと、士彦くんが更に顔を近付けてきた。士彦くんの吐息が頬を撫でる。目、逸らしたい。恥ずかしい。そう思うのに、逸らすつもりは毛頭なかった。でもあまりに近すぎて心臓が持たないから、そっと目を閉じる。するとすぐ、唇にあたたかい何かが触れた。──私はこの感触を、よく知っていた。
「好きやから、Aに触れたいって思うねん」
その言葉を聞いた途端、閉じたままの瞳からぼろぼろと涙が溢れ出した。聞き間違いじゃ、ない。好き、って言ってくれた。私のこと、好きだから触れたい、って。
「──…ずっと好きやった。ずっと、…ずっと」
噛み締めるように繰り返す士彦くんが愛おしくて、ゆっくりと目を開けた。私も同じ気持ちや、って。士彦くんと同じ、ずっとずっと好きだった、と伝えるために。
「私も、…っずっと、士彦くんが好きやったよ。もうずっと、ずっと前から」
「…ほんまに？俺のこと好きなん？」
「…………うん」
そう言うのと同時に、士彦くんに抱き寄せられた。私の人生設計をめちゃくちゃに破壊した、張本人に。
「士彦くん、」
「ん？」
「責任、取ってよ。…私、もう士彦くんしか好きになれへんから」
end.
幼なじみのniymさんにファーストキスも初恋も何もかも奪われてしまったお話。リクエストありがとうございました!
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
