ふたりの将来のこと。＿niym ページ28
リクエスト作品。同期設定です。
「Aさん、今彼氏とかいないんすか」
Aの名前と、その後の内容に思わず手が止まった。チラ、と横目で様子をうかがうと問われた側のAはビールをごくりと飲み干しながら「いないよ」とあっけらかんと答える。
「え、意外。いると思ってました」
「なんでよー。私の恋人はお笑いだから！」
「Aさんが言うとガチっぽいっす」
ガチっぽいじゃなくてガチなの！そう言ってAは、隣の後輩の肩を小突く。Aに触れられて嬉しいのか、そいつはだらしなく緩みきった顔でAを見ていた。何やねんアイツ。てかAもAやろ、飲みの席でそんなスキンシップ取ったら男は軽率に好きになるって。
「大東、アイツ誰？Aの隣の奴」
「東京の奴すよ。え、にーやん知らん？」
「知らん知らん」
大東にそいつの名前を教えてもらったけど、正直名前なんかどうでも良い。Aがアイツに触れた事と、それでアイツが嬉しそうな顔したのと、そもそもAが俺と付き合っていることを未だに周りに言わないことに対してたたただ不満だけが募るだけの飲み会になった。
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「もう四年やで、四年」
「ん？」
「まだ言わんの？俺らのこと」
する、とAの指に自らの指を絡めて半ば強引にシーツに縫い付けた。不満を口にしながらそっと唇を寄せると、もう何度交えたか分からないキスをそれでもただ夢中になって繰り返す。
「…私はそういうのをお笑いに持ち込みたくない、って話したじゃん」
「そうやけど」
「士彦もそれでいいって言ったし」
「うん、」
だから、とその先も言葉を発しようとするAの口を咄嗟に塞いだ。付き合ってることを他の芸人どころか、お互いの相方にも言わないことを了承して付き合い始めたのだ。分かってる、…分かってんねん。俺だって納得してる。ただやっぱり、昨日みたいな所を見るとつい言ってしまいたくなる。Aは俺と付き合っているのだ、と。
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
