誰にも言えない秘密。2 (ページ26)

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独り占め出来たらどんなに良いだろう＿niym ページ26

×後輩

「えっ、どうしたんそれ！！！」

スマホを片手にソファに沈んでいたら、誰かのやたらとでかい声が楽屋中に響き渡った。それから直ぐ、色んな所から驚きの声が上がり始める。チラ、と視線を入口に向けるとそこにはAがいた。…A、だ。え、ちょ待って、

「めっちゃ髪切ったなぁ！！」

たった今、俺が思ったことを見事に後輩が代弁してくれた。昨日までのAは、肩甲骨の下辺りまで髪があったはずだ。けど、今俺の視線の先にいるAの髪は毛先が肩につくくらいの長さで印象が全然違う。髪色も明るくなってるし、正直めちゃくちゃ可愛い。

「やば、めっちゃ可愛いやんA」
「あんな可愛かったか？」
「正直めっちゃタイプやわ」

俺と同じようにソファに座る後輩が、Aを見ながらコソコソ話す声が聞こえてくる。それを聞いて俺は少しだけイラッとしてしまった。何やねんお前ら、長かった頃は何も言ってなかったやろ。なんだか妙に気に触る。面白くない。

「A、」
「あ、新山さん。おはようございます」
「はよ。来て早々悪いんやけど、ちょっと」

付き合って。そう続けながら、左手に持った煙草を見せた。Aはその辺に荷物を置きながらいいですよ、と言ってバッグの外ポケットから煙草を取り出す。

「行きましょ、新山さん」

そう言いながら、Aが振り向く。揺れる髪を見ていたら、あぁ本当に随分と切ってしまったんだな、と改めて感じた。

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