誰にも言えない秘密。2 (ページ25)

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思わず、手が止まる。それと同時に左耳からゲームオーバーの音が流れ出した。あかん、やられてしもた。やられたのは、ゲームだけやない。

「…あかん、ってその顔……」

思わず声に出ていた。トンネル内だから外もうるさいしセーフだろう、誰にも聞かれてない筈だ。俺の肩に寄りかかって眠るAを見て、どぎまぎするのは仕方ない。だって好きやし、俺。…こいつのこと。

「…無防備過ぎんのも考えもんやな」

動画の音量を下げながら独りごちる。ついでに、Aの手から今にも滑り落ちそうな文庫本に手を伸ばす。どんな本読んでんのかな、と軽い気持ちでページをめくるとするりと本の間から何かが落ちてきた。落ちてきたそれに、俺は見覚えがある。…これあれやん、ファンの人らが買ってるやつ。なんやっけ、コレカ？か。それはどうでもえぇねんけど、問題は…

「なんで俺なん…？」

俺のこれを栞の代わりにしてた、ってこと？手元のそれとAの寝顔とを交互に見ていたら、ゆっくりとAの瞼が開いた。…あ、起きた。目が合って数十秒後、俺に寄りかかって寝たこと、栞代わりに俺のカードを挟んでいたことを把握したらしい。Aの顔が赤くなっていくのが分かる。

「石井ちゃん、ごめ…」
「これ、なんで俺なん」
「それはファンの子に貰ったやつで、その…」

ファンの子に貰ったんだよね～と言いながら笑い飛ばすことだって出来たはずだ。でもそれをしないってことは、…ちょっとは期待していいってことやんな。

end.
こちらも風紀委員会の動画を見て思いついたお話。実は両片想いでした。