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「え、いつからそこおったん」
「あ、ごめん。驚かせちゃった」
ついさっきだよ、と続けると新山くんはもーまじでビビった、とため息を吐く。私の視線は、相も変わらずノートの方に向けられていた。…聞いてもいいのかな、これ。何でここに私の名前書いてるの、って。
「新山くん、その…」
「ん？」
チラ、と新山くんを見ると気の抜けた表情の彼と目が合った。私といる時にだけ見せる表情だ。気を許したような、そんな無防備な顔を暫し見つめたあと、つと指をノートの方に向けた。
「これって……」
「ん？あぁ、ネタ帳みたいなもんやで」
「うん、前にちょっと見せてくれたやつだよね」
そうそう、と言いながら新山くんも同じようにノートに目を落とした。その瞬間、端っこに走り書きした私の名前に気付いたのか無言のままノートを閉じる。至って冷静に見えたけど、私には分かる。めちゃくちゃ焦ってるよね、今。
「……ネタ帳になんで私の名前書いてたの？」
そう問い掛けると、新山くんの肩が微かに揺れた。必死に言い訳を考えているんだろうな、と思うと何だかとても愛おしい。ふと笑みがこぼれると、その音に気付いた新山くんが閉じたノートで顔の半分を隠しながらそろりと私を見上げてきた。
「…聞かんでも分かるやろ」
これ以上は勘弁して、と言わんばかりの表情に思わず胸がときめいた。都合よく解釈しても構わない、ということだろうか。…大事にするよ、河野さん。大事にしない訳がない。そう思いながら新山くんにの背中に抱きついた。
end.
風紀委員の動画を見て思い浮かんだお話。
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
