誰にも言えない秘密。2 (ページ21)

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好き過ぎるが故に＿niym ページ21

×同期

「A、愛されてんなぁ」
「へ？何ですか急に」
「大事にせなあかんで」

挨拶を交わした後、すれ違いざまに河野さんからそう言われて思わず足を止めて振り向いた。同じように河野さんも足を止めて振り返り、きょとんとした私を見るなりふと笑みを浮かべて「ま、俺が言わんでも大丈夫か」と言う。

「新山探してるんやろ？あっち行ったで」

結局、河野さんは言いたいことだけ言ってその場を後にした。一人残された私は、教えてもらった方へ向かいながらさっきの河野さん何だったんだろう…と首を傾げることしか出来なかった。

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部屋を覗くと、新山くんの背中が見えた。どうやら、私には気付いていないらしい。背後からそっと忍び寄って覗き込むと、使い込まれたノートを見ているようだった。ネタ帳だっけ、これ。前に見せてもらったことが……

「──……私の名前…？」

使い込まれて端の方がよれてしまっているノートの端に、自分の名前を見つけた。A、と走り書きしてあってぐるぐるとその周りを同じ色のペンで囲われている。それを見つけるなり思わず声に出てしまい、ビクッと肩を跳ねさせた新山くんが振り返った。

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