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まさか、私の気持ちを考えてくれたのか。冗談でも人前でやりたくない、ってあの時思った気持ちを新山くんは。スマホから視線を上げて新山くんを見たら、やっぱりまだ思い詰めたような顔をしていた。胸の奥が、きゅっとする。締め付けられるとは、こういう事だろうか。
「…うん、ほんとはちょっと嫌だった」
正直に吐露すると、はぁ…と新山くんの深いため息が聞こえた。ほらな、やっぱり。まるでそう言うみたいに。
「気遣ってくれてありがとう」
「いや、…うん、別に」
なんだか、新山くんの歯切れが悪い。それにまだ、思い詰めたような顔をしている。どうしたの、と声を掛けるより先に顔を逸らされてしまった。数秒、数十秒、もしかしたら数分。沈黙が続いた後に、…俺も、と小さな声がした。声の主は、他でもない新山くんだった。
「…Aとあの流れであぁいう事すんの、嫌やなって」
「え…？」
視線が、交じる。新山くんの瞳は、ゆらゆらと揺れていた。自分の気持ちを探るように、本当に正しいのかどうか自問自答しているように。初めて見る瞳から、目が離せない。あぁ駄目だ、…期待、している。その先の言葉を私は、
「A」
「うん、」
私を呼んだはいいけど、何を言うか決めてなかったのかもしれない。ゆっくりでいいよ、待ってるよ。そんな思いを込めて返事をしたけど、ちゃんと声出てたかな。掠れて聞こえなかったかも。
「まだ俺の事、…その」
「私の気持ちは二年前からずっと変わってないよ」
もうこのまま、押して押して押しまくってやる。きっともうあと少しの筈だから。ねえ新山くん、そうでしょう。思い詰めてた顔が解けて、気恥しそうな顔をして。今まで散々、想いを口にしてもただの一度だってそんな顔見せなかったのに。
「私のこと、好きになってくれた？」
「…何でそう思うん」
そういう顔してるから、って言ったら新山くんどんな顔するのかな。私のこと、好きって顔してる。きっと、私と同じ顔。
end.
押せ押せな夢主に押されるniymさんのお話。冒頭部分だけ書いて放置していたものを何とか形にしてみました。。
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
