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恋愛相談の体で、それとなく伝えてみようかな。それで上手くいけば最高だし、上手くいかなくても誤魔化しもきくし。…多分。
「付き合いたいけど、付き合いたくないっていうか…」
「その相手のことが好きじゃないん？」
その相手が目の前のあなたなんですけどね。と、言えるはずもなく。相変わらず机に伏せたまま頭を緩く振ると、にーやんは両腕を組んで不思議そうに私を見た。
「分からんなー。好きなら付き合いたいって思うやろ、普通」
「そうなんだけどさ、今の関係を崩したくないんだよー…もし告白して駄目だったら、元の関係に戻れなくない？」
今の関係がここまで心地良くなかったら。同期じゃなかったら。それならきっと、告白してたと思う。でもその二つが告白するにあたって足枷になっているのだ。それも、とびきり重たい。
「何で告ったら失敗するの前提なん」
「そう言われたらそうなんだけど…」
「他の奴にとられてもえぇの？」
…ぐ。ぐうの音も出ないとはこの事か。ゆっくりと上体を起こして、背凭れに背中を預けつつチラリとにーやんを見た。視線が交じって、ほんの少し逸らしてまた戻す。…嫌だ。にーやんが他の子と付き合ったら、耐えられる自信が無い。
「……やだ」
「答え出たやん」
「うん。ありがとう、恋愛マスター」
へへ、と笑って見せるとにーやんはふっと笑ってくれた。その顔が格好良くて思わず写真を撮ってしまう。私がすぐにーやんを撮るのも、Xにすぐ載せるのも癖みたいなものだ。「頼りになる恋愛マスター」そう綴ってポストすると、隣にいたにーやんがすぐにリポストしたよと通知が届いた。
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作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
