・ ページ2
.
そう、これは一方的な私の片想いだ。実るかどうか全く分からない、いやむしろ実らない確率の方が圧倒的に高い片想い。だからといって、簡単に諦めるなんて出来ないの。諦められたら楽になるのかな、って時たま思うことはあるけれど。
・
・
・
「罰ゲームは新山とA〜！！！」
罰ゲームでラップ越しにキス、なんて使い古されたお決まりの罰ゲームに選ばれてしまった。…あーあ、いつかこんな日が来るんじゃないか、って思ってたけど予想以上に早かったな。
「ガチでやるんですか？」
「当たり前やろ、時間ないんやからはよせぇ！」
MCの先輩にせっつかれながら舞台中央に出ていく。同じように新山くんが出てくるのも見えた。時間が押しているから早くしなきゃいけないのは分かるけど、新山くんと冗談でもこういう事したくなかったな、と思う。マジで最初にこれを考えた人を、小一時間ほどとつとつと問いつめてやりたい。
「……俺無理！Aとするくらいやったら石井とした方がマシや！！」
「はぁ？！」
新山くんと向かい合って数秒後、突如方向転換した新山くんが大きな声でそう言いながら石井くんの両肩を掴んでキスをした。舞台上にいた私たちはぽかん、としてしまったけどお客さんの湧き上がる声に後押しされて結果大盛り上がりのままこの日のイベントは終了した。
・
・
・
「配信延長だって」
「最悪や」
にーやんが石井ちゃんにキスした、とファンの間でちょっとした騒動になったらしい。配信チケットが飛ぶように売れた結果、延長が決まったと聞いてすぐ新山くんに声を掛けたらゲンナリした声でそう返ってきた。
「そんなにAとキスしたくなかったのか、…だって」
ファンの人たちのレポを見ながらそう呟くと、妙な沈黙が続いてしまった。チラ、と新山くんを見るとまた思い詰めたような顔をしている。
「…嫌やろ、人前でするなんて」
「だよね、私とするなんて新山くんが、」
「俺やなくてAが嫌やろ」
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あず | 作成日時：2024年3月16日 10時
