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「………」
「え、っと……ほんまに、俺なん…？」
我ながら情けないと思う。何もかもまじで情けない。待ってるって言ってたAに、ほとんど言わせてしまったようなものだ。気まずくて視線を合わせることが出来ない。今まで散々色んな所でキスしておいてこれとか、まじでダサ過ぎる。
「…とりあえずこっち来て」
劇場も近いし人通りもそれなりにあるし。言い訳のようにそう続けて歩き出すと、背後から足音が続いたのでほっと胸を撫で下ろす。人目に付きにくい路地裏に入ると、Aの足音がぴたりと止んだ。
「A、俺…」
「……うん、」
気付いたら、俺はAを抱き締めていた。Aって、こんな小さかったっけ。そんな事を思いながら顔を覗こうとすると、タイミング良くAが顔を上げて互いの視線が交錯する。今日やっと、まともにAの顔が見れた気がする。…Aって、こんな可愛かったっけ。胸の奥底がじわじわと熱い。あぁそうか、好きが溢れるってこんな感覚なんや、
「言うの遅なってごめん」
「うん、」
「…好きやで、A」
言葉にしたらもっと、もっともっともっとこの腕の中の存在が愛おしいと思えた。額をこつ、と触れ合わせるとAはふい、と視線を逸らすけど俺がしつこく見続けたら観念したのかチラ、と窺うように見てくる。
「…言うの遅い」
「ごめんって」
ふ、と同時に笑みがこぼれた。それから数秒して、真っ直ぐに俺を見てきたAがぽつ、と俺にだけ聴こえる声量で私も好き、と告げる。この時の表情こそ、恋人にだけ見せる表情だと確信した。もう随分長い間一緒にいるけど、Aのこんな表情初めて見たからだ。
「……待って今の顔めっちゃ可愛い」
「…別にいつもと同じだけど」
「照れてんの」
「照れてない」
長い間一緒にいたから、手に取るように分かる。へはは、って笑ったら、…ほらな、ちょっと怒った顔するのだって分かってた。けど俺がA、って名前を囁けば察しの良いAなら分かるだろう。──こうやって何度も、俺たちはキスを繰り返してきたのだから。
end.
『ブライダルベールを君に贈る』があまりにも悲しい終わり方だったので、ちゃんとハピエンも書こう!と思って書きました。
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あず(プロフ) - りほさん» りほ様、コメントありがとうございます！申し訳ございません、リクエストはsykのみ受け付けております…！skmtさんを書かれている素敵な書き手様は沢山いらっしゃるので、そちらにお願いされると良いかと思います🙇♀️ (3月13日 20時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
りほ - 可能であればﾏﾕﾘｶ阪本くんお願いします。 (3月13日 19時) (レス) id: 699054d884 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - こっちさん» こっち様、コメントありがとうございます！isiさんの作品を褒めて貰えてとっても嬉しいです🥲🤍片方に偏りがちなのでもう少し頑張って書きますね…！またぜひ読みに来てください〜！ (3月13日 18時) (レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
こっち(プロフ) - はじめまして。たまに書いてくださるisiさんがほんとにステキで毎回キュンキュンしてます✨✨これからも応援してますね🖐️ (3月13日 1時) (レス) @page44 id: c0844398d9 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - まめさん» まめ様、コメントありがとうございます！わ〜〜嬉しいです…！🥲🤍励みになります。もっと刺さるお話が書けるように頑張ります🌟 (2月25日 12時) (レス) @page7 id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月23日 10時
