キスとタイミング＿niym ページ35
×同期
──そういうムードってやつだ、これ。カラン、とグラスに入った氷が溶け落ちた音を聞きながら目を閉じる。それから数秒も経たない間に、唇に触れた感触を私はよく知っていた。
「…誰かに見られたかも」
「別に誰も見てないやろ。それに何も悪いことしてないで、俺ら」
まぁ、うん。そうなんだけど。キスする流れかなって思ったし、私たちは付き合ってる訳だし。でもその、…何て言うのかな、こう……新山くんから醸し出される色気、みたいなやつが強すぎるのよ、うん。
「………」
「…ん？」
ただの一言。否、一文字。私の視線に気付いた新山くんの、そのたった一文字で妙にどぎまぎしてしまうのは、二軒目に珍しくオシャレなバーに連れてきてもらったのと、店内の照明が薄暗いのが原因だと思う。…ちょっとだけ、背伸びしてみようかな。そう思わせるのも、この店の雰囲気のせいだ。
「……新山くん、」
「…自分が今どんな顔してるか分かってんの」
少しだけ目を伏せながら、新山くんの手にするりと自らの手を絡ませた。指先にほんの少し力を入れて、上目がちに見つめるとすぐに新山くんの瞳に捕えられる。返事はしない。ただ、見つめるだけ。何か言いたそうにして、…でも、何も言わない。
「あかんて……A、」
「ん…、っ」
あぁここ、お店の中だったっけ。そんな事をぼんやりと考えながら、キスを受け入れた。ちゅ、と触れるだけのキスを一回、二回。三回目でつい、と顔を逸らして拒否したら新山くんの唇が頬に触れた。
「…何で拒否んの」
「流石に人目が気になって……」
「誘ってたやん完全に」
あんな見つめて、手の絡め方もやらしいねん。そう指摘されて手を離そうとしたら、逆に掴まれてしまった。やらしい、って。そんなつもりはなかった、と言えばほんの少し嘘になるけど。ごつごつした新山くんの手の感触に、期待が膨らんでいく。高鳴る心臓の音が聞こえそう、
「今日は帰したくないんやけど」
「…うん、」
──あぁどうか、今日はずっとこの手を離さないでいて欲しい。
end.
「キスとタイミング」niymさんverでした。niymさんってムード大切にしそうだなぁ、という妄想から生まれた産物です。
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あず(プロフ) - りほさん» りほ様、コメントありがとうございます！申し訳ございません、リクエストはsykのみ受け付けております…！skmtさんを書かれている素敵な書き手様は沢山いらっしゃるので、そちらにお願いされると良いかと思います🙇♀️ (3月13日 20時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
りほ - 可能であればﾏﾕﾘｶ阪本くんお願いします。 (3月13日 19時) (レス) id: 699054d884 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - こっちさん» こっち様、コメントありがとうございます！isiさんの作品を褒めて貰えてとっても嬉しいです🥲🤍片方に偏りがちなのでもう少し頑張って書きますね…！またぜひ読みに来てください〜！ (3月13日 18時) (レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
こっち(プロフ) - はじめまして。たまに書いてくださるisiさんがほんとにステキで毎回キュンキュンしてます✨✨これからも応援してますね🖐️ (3月13日 1時) (レス) @page44 id: c0844398d9 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - まめさん» まめ様、コメントありがとうございます！わ〜〜嬉しいです…！🥲🤍励みになります。もっと刺さるお話が書けるように頑張ります🌟 (2月25日 12時) (レス) @page7 id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月23日 10時
