よぉ暇人【レイクレ】 (ページ21)

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さっきの1発が効いたのか、だいぶ酔っているAはアツく語り始めた。

「わたしは女やけどぉ性別とか感じさせんで楽しい動画つくりたいだけやねん…

男の中に女ひとり混じってるのはそんなにおかしいことなんかい」

レイクレが100万人に近づいていくと共に、Aのアンチは増える。
女性ファンからすると紅一点という存在は気に入らないのか、動画にはAがビッチだとかブスだとかいうコメントが1つはある。

見つけ次第コメントの削除はするがなかなか追いつかないのが現状だ。
他のSNSを通してもそういう批判的なコメントはAの目に入ってしまう。

「ブスとか言われんでも分かってるけどぉわざわざ人が傷つくような言い方せんでええやんかぁぁ」

わたしは6人で100万人いきたいねん、

弱々しくつぶやく。

普段、Aはアンチなんか気にしないよう振る舞っていたが実際気にしないなんてことは不可能で。

1人で我慢してるんやろうなぁ

「…大丈夫や」

なにか言おうとしたが、少女漫画に出てくる、キラキラな王子様が言うような言葉はいくら考えても出てこなかった。

「大丈夫やから」

俺らが守ってやるとかお前はかわいいよとか、かっこつけられるチャンスはいくらでもあったのに、

俺がいつまで経っても童貞なのはこういうところなんだろう。

気の利いたセリフが言えない自分に幻滅していると

「…ぺろ、ありがと」

俺の手を握ったAは嬉しそうに微笑んだ。

口に出したのはたった一言だったはずなのに、言いたいことを全て見透かされているような気がした。

わかってるよ、と言いたげな表情。

いつもこうだ

肝心なところで踏み出せない

A、俺の気持ち全部わかってるんでしょ

俺がお前に相応しい男になる時にはこの気持ちも口に出せると思うからさ

それまでは、誰のものにもならないで

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