どうやら私は死んでいたようです。【及川徹】 (ページ29)

今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:15,694 hit

過去編:暗い感情ページ29

偶然体育館に訪れた先輩達の友人と交代して体育館を出た。

体育館の裏庭には、テラスのような木製の屋根とベンチがあった。

卒業した建築科が建てたらしいそのベンチに座らず、その横に腰を下ろして蹲る。

『お前、バレーやってて楽しいか？』

「楽しいわけないだろ...」

誰よりも長く、試合をしたくて。

練習して練習して。

それでも勝てないやつはすぐそばにいて。

新しく入ってきた1年生のひとりに怯えて、

楽しくやっていたバレーの練習は、いつの間にか重圧に感じてた。

クソみたいな感情は全て、好きで好きで自分の全てを捧げたバレーから。

ぐるぐると廻る嫌な思い出が、目頭を熱くした。

嗚呼、くそ、くそ、くそ、くそ。

ぼろぼろと流れ出てくる涙が、まるで自分が悲劇の主人公のようで気分が悪かった。

誰かに慰められたいと思う反面、今の弱い自分を誰にも知られたくないという矛盾した感情。

鼻が詰まって息苦しくて、

いっそこのまま死ねたなら。なんて、こんな下らないことで死にたいと願ってしまって。

なんで俺はこんなに弱いんだろうか。

膝に埋めていた顔をふっとあげて、

涙で顔を濡らす彼女をみつけた。