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珈琲 ページ3
バーカウンターの奥へと消えた店員を最後まで見届けて、ひと息つく気持ちで、珈琲をひと口含んだ。
珈琲独特の香りが、鼻を抜ける。
舌を刺激する、熱くて、苦くて、甘ったるい、液体。
『その、Aさえ良ければ、だけど。付き合ってほしい。返事はいつでもいいからさ』
『死んだ元カノと比べてるわけじゃないんだけど、泰子といると元カノの事忘れることが出来て、安心できるんだ』
この珈琲は、まるで彼のようだった。
カラになったカップの底に、鈍く反射して写る自分の顔。
(私は、死んでるのか)
まだ、受け止めきれていないのか、頭がうまく回らない。
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作者名：島ぞうり | 作成日時：2017年5月7日 21時
