File 1 ページ1
「レース参加希望ですか?」
「ああ、」
その男、或いは女は答えた。
彼の人は、実に奇妙であった。
真っ白な白衣に、マフラーで口元を隠して居た。
「1200ドルだっけか...」
と呟きながら、金をカウンターに出した。
「はい、参加料ひとり1200ドルは一度支払ったら個人的理由による返済はいっさいできません。」
淡々と説明する男。
だがその言葉は途中で遮られた。
「説明は不要だ。必要なことだけでいい。」
そう言われ男は困惑した。
これまでに説明を不要とした参加者が居ただろうか、いやいない。いるはずがないのだ。
さらさらとサインを書く彼の人に男の困惑は増していくばかり。
「できたぞ」
「ああ!、ありがとうございます」
紙を貰い、感謝を述べると彼の人は「もう行っていいのか?」とだけ返した。
「はい、いいですよ。くれぐれも気を付けて」
返事をせず彼の人は外に向かった。
☆☆☆
とても憂鬱な気分だ...
手袋を片方無くすなんて、本当についてない。
溜息をつきながら愛馬に乗ろうとした。
「騒がしいな...」
耳に障る。騒がしいのは嫌いなんだ。
身に覚えのある後ろ姿が目に入った。
予定変更だ!
彼に声を掛けてからこの場を去ることにしよう。
「やあ、ジョニィ君」
後ろから声を掛けると彼は驚いたように後ろを振り向いた。
「あ、あんたは...」
「驚かせてしまったかな」
なら申し訳ない、と言うと"全然申し訳そうじゃない"と言うような、微妙な顔をした。
「何があったんだい?」
「鉄球を持った男と拳銃を持った男の決闘らしい。」
彼_もちろん鉄球を持った方の_が気になっている。
彼をこの精神状態のまま行かせていいのだろうか。
...担当医じゃないし、いいか。
14人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しの絵チャ民 - すみませんミスです!最後の男の人は誰なんでしょうね…… (1月9日 17時) (レス) id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの絵チャ民 - えー、 (1月9日 17時) (レス) @page5 id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - ぽかりさん» ありがとうございます!!再浮上したので、どうかこれからもよろしくお願いします! (12月23日 23時) (レス) @page5 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽかり - 合宿頑張ってください!更新楽しみにしてます! (8月30日 16時) (レス) @page5 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ペトリ皿 | 作成日時:2022年10月2日 1時