【H×H】泡沫より愛をこめて (ページ27)

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齢18 ページ27

Aside

ずっと長いこと夢を見ていた気がする

エクリプス家に生まれて18年の記憶(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

もう18か、なんて思いながらある場所に向かう

この街は賑わっている

人と人の間を抜けて、たどり着いたのは飲食店

中に入ると、古い油の匂いとスパイスの香り

店「いらっしゃっせー！ご注文はお決まりでー？」

中華鍋を振う店主が尋ねてくる

『ステーキ定食を弱火でじっくり焼き上げたものをいただこうかしら』

店「…あいよー！」

店員「お客さん、奥の部屋にご案内します！」

店員に誘導され、奥の部屋に着く。

奥の部屋には実際に食事が置かれていた

何も知らない人何これを注文したらどうなるんだろ、なんて考えながら前菜を食べていく

先ほどの注文はハンター試験の合言葉になっていた

ご存知の方はわかるだろうが、私はハンター試験を受験しに来ている

私の初期の望み通り、エクリプス家は壊滅し今は私一人だけ。

エクリプスの誇る情報力は衰えておらず、簡単に聞き出せた

意外と簡単ね

考え事をしていても手は止まらない

『…ん！美味しい』

地下に降りて行くこの部屋の浮遊感を諸共せず、食べ終わる頃には到着していた

『ご馳走様でした』

部屋を出ると、今年受ける受験者が勢揃いしていた

なかなかの人数がこちらを見ている

ジロジロ見られて良い気分にはならないわ

私を舐めた目で見ている人を何人か殺ろうとしたが、仕事じゃないからやめておく

豆の顔をしたハンター協会の方から番号札をもらう

番号は【66】

なんともキリが悪い数字

おそらく、まだまだ参加人数は増えるだろう

始まるまで一休みしようかな

軽い足取りで壁にあるパイプの上に座る

『全体を見る限り、66番以前で手強そうなのは…』

あのピエロ(44番)ね

初対面のはずなんだけれど、すごく、それはもうすごく視線を感じる

ゾゾゾと背中に走る

関わらないでおこう、かな…

というか

お友達ごっこをしに来たわけではない

あの日(・・・)に誓った

大切な人を作らない

これは絶対

『もう、失いたくないもの…』

誰にも聞こえないような小さな声で呟く

膝を抱えて座る

試験が始まれば、空気も変わる

その変化に気づかないほど疎くはない

その感覚に任せて、私は少しの間眠りについた