手紙 ページ14
【パラレルワールド？】
イルミside
今日はあのオドオドとした声も挙動が聞こえない
あんなナリでも長女なのだから、することをしてもらわねば。
弟達もいるんだから。
そういえば一昨日、親父と依頼を受けていた
査定とでも言っておこう。どうせ不合格だろうし、また俺が鍛えてやらなくちゃ
薄暗い廊下を降りて、扉を開ける
イ「Aの癖に迎えにこさせるなんて生意気だね。今日は100倍の電気を浴びから、再生し…」
イルミが見たのは脚がなく、血の海の中で息のないAの姿
イ「A。…ま、出来損ないだから、ヘマでもしたんでしょ」
あーあ、暇つぶしが無くなった
使用人を呼んで、死体の処理を頼む
めんどくさいなぁ
なんて考えていると目の前に紙が折り畳まれたモノ飛んでくる
Aは念を使えない、かといってこのオーラは見たことがない
この手紙と思しきものは延々と付き纏ってきた
仕事の時もヒソカと会ってる時も
厄介な事に自分以外には見えないらしく、目障りだ
イ「…見ればいいんだろ」
ずっと浮かんでいた手紙を手に取り、開封する
見慣れない文字の形跡
それでも誰が書いたのはよくわかる
Aだ
イルミ兄さんへ
兄さんはいつもかっこよかったです。仕事を熟す姿も不慣れで不恰好だけど弟を愛しているところ。全てが尊敬の対象でした。なんやかんや、私の話も聞いてくれていたところ。大好きでした。そして、ごめんなさい。こんな不出来な妹で。ごめんなさい。役に立たなくて。ごめんなさい。もし生まれ変われるのなら、その時はきっと役に立ちたいです。兄さん、ずっと大好きです。
所々滲んでいるのは、水だろうか。
この男は涙を知らない。
たった1人の妹が死んだ。
居ても居なくてもいい存在だった。
だから別に思うことはないはずなのに、心にポッカリ穴が開いた様だった。
頭の中で整理をしつつ、両親に電話をする
親父は「ああそうか。」の5文字
母親は「そう。役立たずは別にいらないもの。」
別に衝撃は受けない。予想はできていた
一通り読み終えたら、その手紙は消えてしまった
イ「お前はずっと出来損ないで良かったんだよ…」
イルミにとって家から出さないというのも一種の愛情表現だった
弱すぎる彼女を守りたかった
そんな思いだったのだ
イルミはしばらくの間依頼の山を黙々と熟していた
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作者名：キノコ | 作成日時：2024年2月1日 23時
