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きゅん ページ45

バレンタインコンサートが終わってからは
定期演奏会の練習

先生「おい、山田」

『はい』

先生「あとで準備室」

『あ、はい』


準備室に行くのも最近は慣れたもの


それなりに気にかけてもらってるみたいで
用事があるんだか無いんだか
わからんようなときでもときどき呼んでもらえる



・・・かと言ってまったくひいきもされないし、
合奏だろうが
セクション練習だろうが
個人レッスンだろうが
怒鳴りちらされるけど


コンコンッ
『上野です。失礼します。』

「おー」

トロンボーンをケースにしまうとこやったみたいで

『先生、吹いてらっしゃったんですか?』

「まぁ、ちょこっとな」

『えっ!聴きたいです!!!』

「もうしまうもん・・・
  組み立てんのめんどくさい」

『えー・・・(笑)』

「今度アンサンブルの本番があってな」

『そうなんですか?!』

「近郊の先生方でホール借りて10ted(金管十重奏)やるねん」

『すごいっ!!!聴きたいです!!!』

「ふっ(笑)、またチラシもらってきたるわ」

『お、お願いしますっ!!!』

やった!先生のトロンボーンが聴ける・・・!!!
泉先輩にも言おっと♪


「あー、ほんでや。次の定演の1部のメイン、お前のソロ考えてんねんけど」


『――えっ?!』

とんでもないことを
あまりにもしれっと言うから
驚きすぎて完全に目が点

「なんやねん。吹きたないんか?」

『ふ、吹きたいです!』

けど、、、

「・・・お前、まだいじめられてんの?」


、、、ほら。言い方あれやけど(笑)


『・・・もうちょっと言い方気つかってくださいよ(笑)』

「こういう言い方して笑ってるやつは大丈夫や」


たしかに(笑)


『もう気にしないです。誰に何て言われても
  先生がソロ吹いていいっておっしゃるのであれば
  いじめられてでも吹きたいです。』


先生はチャンスをくれる

これを逃すのはもったいない


「・・・」

準備室の奥の自分のデスクに座っていた先生が
閉まった楽器ケースを机の横に置き、
立ち上がって近づいてくる



私の頭に手を乗せ、




「・・・俺が守ったるから、いい演奏することだけ考えろ」





“きゅんっ”

ってした

これは、、、

ほんまに亮ちゃんが大人になったって感じで

なんか、、、ドキドキするなぁ

泉先輩が落ちるハズやわ

『・・・ありがとうございます』

「誰にも文句言われんように死ぬほど練習しとけ」

『はいっ!』

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作者名:ちゅみぱ | 作成日時:2019年2月6日 17時

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