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バレンタイン ページ42

翌日のバレンタインイベントは
雪が心配されていたにも関わらず
驚くほどのお客さんが足を運んでくれていて、
演奏も振りを間違えることなく
無事に終わった

演奏が終わり、パート分の譜面を回収し、
両手いっぱいに荷物を持って
一人遅れて控え室に向かうと



「あのっ・・」



男の人に声をかけられた

メガネに前髪が長くて顔がよく見えない


リュックサックの紐を短く背負い、
見るからにオタクのような感じの人


『はい・・?』
「山田、、Aさんですよね?」


『え・・・あ、はい』

「あのっ!あ・・・
  クリスマスコンサートのときに
  見送りで握手して頂いて・・・」

『あ、そうでしたか・・・
  すみません、ありがとうございます』

「詩的間奏曲のソロ、感動してって・・
  お、覚えてませんか?」

『す、すみません・・・
  いっぱい人がいたので』



こまったな、、、全然覚えてない



「あの、また握手を是非・・・」

まるでアイドルの握手会かのような感じで手を出してきたので

『え・・・あ、ごめんなさい、
  荷物が多いので・・・』

両手がふさがっているアピールをすると

「あ、そうですか・・・」

ちょっとコワイけど、せっかくのお客様やし
邪険にしたらアカン、よな

『すみません、急がないといけないので、
  失礼します』

「は、春の演奏会も聴きに行きます・・」

『是非来て下さい、お待ちしてます』

せめて笑顔で終わらそうと
にっこり笑ってその場をあとにした



ちょっとドキドキした
章ちゃんもこんな感じなんかな・・・

本番が終わってからも練習があったし、
帰り道はすっかり真っ暗

疲れ果てて家に帰ると

“本番おつかれさん!
  晩ご飯冷蔵庫にあるよーん♪”

ってお母さんからの書置きを見つけて
ちょっとうれしくなった


冷蔵庫を開けると、ラップされた晩御飯の上の段に


・・・ラッピングされたチョコが2つ



今日はバレンタイン

章ちゃんにチョコ渡したかったなぁ

昨日の晩、実はチョコを作っておいた

パウンドケーキやったら作ったこともあるし
ちょっとだけ自信があるし・・・
章ちゃんと、亮ちゃんの分、
渡せるわけなんかないけど、

ヒロコにあげようかなぁ〜

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作者名:ちゅみぱ | 作成日時:2019年2月6日 17時

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