私の天使 (ページ10)

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翌朝、
いつもより早く家を出発する

ヒロコとは家が近くて徒歩1分ぐらいの距離

小学1年生から毎日登下校を一緒にしてきたから
横におらんなんて風邪ひいて休んだときくらい

この違和感に涙が出てきた

今日は演奏会のメインになる大トリの曲のオーディション

150名ほどいるメンバーから50名が選抜される

オーディションはとてもシンプルで、
合奏中に先生がメンバーを交代で吹かせるだけのもの

その場で先生が指名していくから、いつもの合奏の数倍緊張する

最初にパート内で選抜メンバーを決定して合奏に臨む

2年生だけでも80人近くいるので、正直1年生には関係のない話なんやけど、
一応1年生含め全員に譜面は配られていて練習はしているし、合奏にも参加する

そして、来年のコンクールの第1回目オーディションと言っても
過言ではないので気は抜けない

今回の大トリの曲はホルンがヘタくそだとコケる曲なので
特にホルンのメンバー選びは慎重になるらしい

選ばれるのはたったの6名

「うちは2年生だけで組まれるかな～」

と同じパートで1年生の森田カヨちゃんがボヤく

返したら無視されるかなぁと思いながらも、

『きっとそうやんな。先輩みんなうまいもんなぁ』

「でもAもうまいやん」

ビックリして、すごい勢いで見てしまった

お世辞でもうれしかったし、何より返してくれたことがうれしかった

『いやいや！カヨちゃんのがうまいよ！先輩みんな言ってる』

ほんまに・・・浦川先輩にも言われたし

「乗りたいよな～、コンクール。出んと意味ないやん」

『！』

そんなこと言っていいんかな
乗りたいって思っていいんかな

でもそしたらまた誰か先輩を差し置いて乗ることになるんやんな・・・

私らはまだ来年もあるんやし、2年生で乗れへんくっても

「(ボソッ)だいたい練習してない先輩乗せるくらいやったら
　あたしら乗せてよって感じやわ」

『え？！』

「体育館に移動するよ～」

と声がかかり、ゾロゾロと動きだす

カヨちゃんは涼しい顔で私の前を通り過ぎていった