私の天使 (ページ25)

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Solo ページ25

クリスマスコンサートまであと1週間に迫った火曜日

本番で使う小道具、大道具の準備もだいぶ形が見えてきて、
いよいよ本番といった雰囲気

ヤンキー天使はやっぱりヤンキーの天使であったことと、
(私の見立ては間違ってなかった！)

名前が“安田章大”ということを聞けた

友達がいない私に相談相手ができたって思うだけで、
それだけでなにもかもがうまく回り始めた感じがする

あいかわらず浦川先輩一派にはにらまれるし、
同級生からもハブられてるけど

大丈夫って思えてくる

・・・でも、ヒロコを見ると泣きそうになる

他の子と仲良く話しているところを見たときは
静かにトイレで泣いたりしてる

正直、さみしい

先生「じゃあ次、アンコールの練習」

全員「「はい」」

メンバーに入ってから3回目の合奏で、
一曲通して練習したあと、

先生「・・・山田、お前いっぺんソロ吹いてみろ」

『え・・・』

ぽかんとしていたのは私だけじゃなく、
周りの先輩たちみんな

ただ一人、泉先輩を抜いて

先生「頭からもっかいやるぞ～」

全員「はいっ」

泉「(コソッ)大丈夫！練習したやろ(＾＾)」

にっこり笑う先輩

あまりに突然のことすぎて
緊張する暇もなく先生が指揮を振り始めた

練習はした
(基礎練習のつもりでやけど)

この曲、歌詞でもつけられそうなくらい素敵なメロディーやし
感情を入れやすい
たっぷり歌うように吹いたら・・・

いつもより、音が伸びる
まるで、自分で歌ってるみたい

それと

楽しいって気持ち

こんなに気持ちよく吹けたのって初めて

吹き終わって

先生「・・・(ボソッ)よう練習したんやなぁ」

『あ、あの・・・』

先生「テンポどうや？遅いか？」

『あの、え？あ、とっても吹きやすいテンポでした』

先生「そうか。そしたらブレス(息継ぎ)の位置だけずらそう
　 3小節目のアフタクトの前に吸ってみ」

『は、はいっ！』

先生「全員でホルンソロの1小節前のとこから」

全員「「はいっ」」

そのあとは、ほどよい緊張感と
ソロを吹かせてもらえた高揚感で

あっという間に時間が過ぎた

このあとまた嫌味言われるんやろうなとか
一瞬頭を過ぎったけど

あんなに長いソロを吹かせてもらえるなんて・・・
夢みたいな時間やった