八 ページ4
霊安室から部屋まで、部屋から霊安室までの走る短い時間で感じた事を整理した
中也がモノに変わった事が、とてつもなく恐かった
人の死体は何百と見てきた筈なのに、恐怖を感じたのは初めての事だった
__何故?
わからない
もう考えるのは終わり
霊安室に辿り着くと、持ってきたメスと瓶を、寝台の上に置く
「A君、何をしているんだ」
「中也を、生き返らせます…」
手の甲を切り、血を瓶に入れる。そして、中也の心臓に凡て垂らす
皮などを元に戻し、心臓の位置に耳を当てた
__どくんっ、どくんっ…
「善かった…」
中也が生き返って安心感に、その場に座り込む
「A、それは…」
「私の異能力です」
「死んだ人間を生き返らせる?」
森さんの質問に付け足す
「異能者の場合、瓶一杯の血を飲めば、その人の異能力が使えるようになります」
森さんは顎に手を当て、考える素振りを見せた後、メスと瓶を貸してくれと云った。断る理由がなく、貸す事にする
私と同じように安心した姐さんは、涙を流していた
「Aがその異能を発動している間、私が触っていたら中也は生き返らなかったのかあ、残念」
そう云う太宰も、数分前の表情や声色から一変、何時もの太宰に戻った
「ところで、飲めと云うのですか」
「殺しの際、異能者が相手じゃ難しい所もあるだろう。君にとって不都合はない筈だ」
森さんから瓶を受け取り、一気に飲み干す
「げほっ…」
__鉄の味
「中也君を医務室に運ぼう」
__あ、拙い
「A!?」
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作者名:MIA | 作成日時:2017年8月5日 20時