ゼロから始まる【降谷零】

07. ページ9

「それにしても、Aさんにも彼氏はいたんですね」

「新一くん、それちょっとどういう意味？」


彼氏どころか旦那だ。

それに気づかないなんて、新一くんもまだまだだなぁ！


そうだ、と思って、仕返しついでにさっきから黙っている女の子について聞いた。


「新一くんこそ、その子は彼女？」

「ばっ…違いますよ!!」

「ふーん」


必死になる新一くんの横で、女の子も顔を赤らめている。

…両想いでしょう、これは。


「こいつは幼馴染の…」

「えっと、毛利蘭です。

新一がいつもお世話になってます。｣


そう言って蘭ちゃんはぺこりと頭を下げる。

絶対いい子だな、この子。



.


.



ーー…


「…A、そろそろ俺達は行こうか」


しばらく4人で話したあと、

時計を見た零はそういった。


「そうね。

…それじゃあね、蘭ちゃん。新一くんはまた今度かな？」

「はは、Aさんは現場に出る前提なんですね…

はい、また。」



「おい、」

「はいはい、今行きます。」


私が2人と話しているあいだに会計を済ませてくれたみたいで、

私は零に手を引かれて、ポアロを出た。



〜･〜･〜



新一side


「ねえ、新一

素敵な人たちだったね！」

「だな。…なんか恋人っていうより夫婦みてーだったけど」


まあ隠す理由もねえし、ただ距離が近いだけか。


…降谷さんは相当にAさんのことが好きなんだろう。


時折、さりげなく腰や肩に回される手も、

他の男からの視線を振り払うようにAさんの隣にいるあの姿も。


きっとそういうことだろうからな。

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