そしてゼロになる【降谷零/安室透】

08.再確認 ページ10

Aside


「…零、」

「なんだ？A」


零が虚をつかれたように慌てて答える。



安室透でいる時よりも口調はぶっきらぼうだし、

あの不自然なほどの笑顔もないけど。






私は、そんな零が好きだ。



「…零がいてくれて良かった。」



皆いなくなってしまって、零にさえも突き放されて、

心が空っぽになった心地だった。


「零、死なないでね。

死んだら許さない。」

「A…」

「松田も萩原も、緑川も、皆いなくなっちゃった。

伊達にだってもう何年も会えてない。


…もう、



大事な人が遠くに行ってしまうのは嫌。」


零は頷くことなく黙って聞いている。


「いつ死ぬかも分からない仕事だってことは分かってる。

でも、死ぬ前提で動かないで。



もっと、“降谷零”を大切にしてください。」


…どうしよ、泣きそう。



座っていたソファの上で蹲って顔を伏せる。




…すると、少し経ったあと零が隣に座って


私の肩を抱き寄せた。



「…勘違いしそうになるから変なことしないで。」

「悪かったな。


…お前を泣かせてばっかりで。」

「…」



…降谷零は狡い。

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