0. 好き ページ21
○
ピピーッ .
「 ありがとうございました! 」
笛の音が鳴り、みんなが相手に頭を下げる。
梟谷は練習か?と思うほど強くて初心者が
見ても全員が勝ちに驚く程貪欲。
その粘り強さで途中木兎さんが変なスイッチ
入ってたっぽいけど周りはそれに慣れている
からなのか何ら変わらない強さだった。
凄い。それしか言葉が出なくて白福先輩の
隣で口をパクパクさせて見ていた。
赤葦くんはそれに気づいたのかゆっくり
こちらにきた。疲れてるのに大丈夫かな…。
「 赤葦くん、お疲れ様、でした 」
「 すっごくかっこよかった 」
「 青木さんありがとう 」
赤葦くんは私がお疲れ様と言えばありがとう
って返してくれた。それすらも好きだな。
気持ちに自覚するとまともに会話ができない。
さっきから目がきょろきょろ動いてしまう。
そう思ってたら白福先輩がもうお昼頃だから
帰る支度した方がいいかも、と声をかけてくれた。
「 ごめん、赤葦くん私支度しなきゃ 」
言いたくないな、帰りたくないな。
そう思うのは山々だけど私にも予定が
あるし、越えられない壁はある。
これだけ赤葦くんのカッコイイ所を
見れたんだから我慢しなくちゃ。
そう思ったけど。
赤葦くんはそんなのお構い無しで。
「 青木さん 」
「 っ、はい! 」
急に名前を呼ばれてビクッとしてしまう。
はい!と答えたら赤葦くんはスーと、
息を吸って柔らかい私の大好きな笑顔で。
「 俺、青木さんが好きです 」
と言った。何が何だか分からなかった。
固まって気づいたら。
「 私も、赤葦くんが好きです 」
そう言っていて周りの選手たちは
え?告白?あかーし!?え?みたいな
空気。だけど今日だけはそれでいい。
「 俺と付き合ってください 」
「 もちろんです 」
幸せとでも言えばいいのだろうか。
人を好きになれる事は凄いこと。
気持ちが通じることは素敵なこと。
恋愛なんてなんら興味無かったけど。
付き合うことになったんだって、今。
自覚したら胸がキューッと締め付けられて、
赤葦くんは私をそのままギューッとする。
「 青木さん、下の名前で呼んでいい? 」
「 どうぞ、京治くん 」
「 先越されたな…A 」
自分の名前がこんなに愛しく聞こえるのか。
凄いな、恋って…なーんて思いながら、
名残り惜しいけど京治くんに一言入れ、
帰る支度を始めた。まだ、帰りたくないな。
○
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猫だと被る。じゃあどうしろと!?(プロフ) - 赤葦を書いてくれるとか神ですか?そうなんですね!?ほんと、顔がずっとにやけてます。ありがとうございました (2020年8月29日 6時) (レス) id: 96098a2a12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃぴ | 作成日時:2020年5月9日 23時