カフェラテと貴方と。【菅原孝支】

一体何が ページ29

放課後のチャイムが鳴ると、私より後ろの席の日向がガチャガチャとカバンを漁っていたかと思うと勢いよくファスナーを締めて「部活だぁ〜！！！」と教室を飛び出していった。

(ああいうのを部活熱心…いや、部活馬鹿って言うんだろうか)

ふ、と少し笑いながら、私もカバンと入部届を持って教室を後にする。
背負ったカバンは期待と不安でどことなく重みを感じた。




*

体育館に入った私はすぐさま清水先輩に駆け寄って、手に持っていた入部届を『これ！お願いします！！』と差し出す。

「あ、入部届。ありがとう…！もし入部してくれなかったら頼んでおいたこれ、どうしようかと思ってたんだ」

そう言って清水先輩は自分の足元のダンボールをしゃがんで叩く。
随分と真新しいダンボールに、私は思わず『なんですか、これ…？』と首を傾げる。

私の疑問に「まだ内緒」と言うかのように清水先輩はふふ、と優しく笑った。ああ、女神って本当に存在するんだな。
美しい笑顔になんとなく期待を抱いた私に「さ、今日も頑張ろ」と彼女は声をかける。

(この人となら、きっと)

『はい！！！』




部活に全員が来たところで、清水先輩が「みんな、ちょっといいかな」と皆を呼び止める。
どこに行っていいのかわからない私は彼女の隣に(恐れ多いけど)並んだ。
足元にあったダンボールを清水先輩が漁り始めると、澤村さんが「お、もう届いたのかぁ」と頷いている。

1年生以外の皆がその中身が知っているかのような反応をしているためつられて私も不安になってきてしまった。
近くにいる日向影山も頭にハテナを浮かべている。



(一体何が始まるのだろうか…)









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