カフェラテと貴方と。【菅原孝支】

早々 ページ3

(影山…飛雄、だよね)

入学式で寝てたっていう印象がありすぎてこんなに背が高いなんて思いもしていなかった。
その影山飛雄は自販機の前で眉間に皺を寄せている。
何をそんなに悩んでいるんだろうかと覗き込んでみるととても単純なものだった。

…ぐんぐん牛乳とぐんぐんヨーグル。

交互に見つめたかと思うと2本指で同時押し。
出てきたぐんぐん牛乳を取り出してそそくさと歩いていってしまった。


(怖いやつかと思ってたけど、ギャップありすぎでしょ…w)
ぷっ、と少し吹き出して、私も自販機でカフェラテを買った。

その時だった。お金を入れていないはずなのに。取り出したカフェラテを手に持っているのに。

取り出し口からまた音がする。

『ガタン、ガタン、』と数回ほど聞こえ、
音が鳴り止んだ後に恐る恐る取り出し口を覗くと、5本ほどのカフェラテが押しつめられたように現れた。


(え、これどうすんの…？でもそろそろチャイム鳴るよね…？)
とりあえず取り出した5本と自分の分のカフェラテの計6本を抱えて教室へ向かう。
同じ制服を着た2年生やら3年生やらが驚いた顔でガン見してくるけどしょうがない。さすがに1人では飲みきれない量だもんな…。

(とりあえず飲み物代浮いたな〜)とか呑気なことを考えていると腕の中にあったうちの1本が私の腕を通り抜けて転がっていった。

『あ、しまった！』という暇もなくコロコロ転がっていくカフェラテ。私は残りを抱えながら必死に追いかける。

(入学式早々、私何やってんだろ…)



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