歓喜 ページ24
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処刑玉砲前日。
入間くんはまだ、一回もボールを取れていない。
緊張感と微かな焦りが、入間くんの表情からひしひしと伝わってくる。
しかし、どれだけボールに触れなくても、当たって膝から崩れ落ちても、入間くんは決して逃げ出さなかった。
むしろ、オペラさんに向き直って、「お願いします!」と声を張ったくらいだ。
軽い応援程度で見ていた私も、いつの間にか釘付けになっていた。
入間くんの誠意にオペラさんも応えるように、ボールを再び投げた。
入間くんは顔の近くまでボールが来た、ところで避けた。
また失敗か。そう思っていたけど_____取ったのだ。
しっかりと、両手で。
隣で大きな歓声が巻き起こる。
その勢いのまま、「とれた!」と嬉しそうにはしゃぐ入間くんの元に駆け寄った。
「とれた! とれた!」
「さすがです!」
「タッチ! タッチ!」
とクララが手を差し出し、入間くんとハイタッチをした。
アズくんは「こら! 入間様の手は傷だらけなのだぞ!」とクララを咎めたが、入間くんはアズくんもやろう! と手を出し、静かなハイタッチを交わした。
その光景を外から眺めていると、入間くんは私の方に向き直した。手を軽く上げながら。
「Aも! ハイタッチしよう」
「えっ…いやでも…………うん」
傷に響かないよう、そっと手に触れる。
ちょん、と感触が伝わったところで、すぐに手を引っ込めた。ウブだと思われただろうか。
分からないけど、何故か照れくさい。
四人でハイタッチを交わす中、オペラさんの声が飛んできた。
「さっ、感覚を忘れないうちに続けますよ」
「はっ、はい!」
「__これが終わったら、腕によりをかけた料理をお出しします」
その言葉に、入間くんは何よりも嬉しそうに笑った。
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入間くんもボールを取る感覚が身についてきたのか、10球中8球あたりとれるようになってきた。
入間くんはメキメキと上達していき、ほぼ完璧とオペラさんが判断したところで、特訓は幕を閉じた。
「Aもハイタッチしよー!」
入間くんとアズくんたちが特訓終了にまたもやハイタッチをする中、私は何故かオペラさんに引き止められた。
襟を掴み引っ張られ、ぐぇっ、なんて声が出る。
「な、なんですか急に」
「___少し、お茶でもしませんか」
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ペグ(プロフ) - あまねさん» あまねさん、コメントありがとうございます!ご期待に添えるよう、精進します!·͜· ꕤ︎︎ (5月10日 16時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 好きですぅぅ (5月9日 9時) (レス) @page45 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ペグ(プロフ) - めぇちゃりおる.⁠。⁠*⁠♡さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!多忙期により更新が不安定ですが、暖かい目で見守ってください₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (2月15日 15時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
めぇちゃりおる.。*♡ - この作品読んだ瞬間お気に入りになりました!!更新も楽しみにしてます! (2月15日 14時) (レス) @page26 id: 094e17a662 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペグ | 作成日時:2024年1月30日 22時