検索窓
今日:51 hit、昨日:20 hit、合計:6,706 hit

手当て ページ23







入間くんの特訓に付き添い続けた結果。
最初こそ避けまくって全く取る気配がなかったものの、少しすれば手に当たるようになってきた。

これくらい普通のことだとしても、本人からすれば物凄い成長なのだ。アズくんもクララも、自分のことかのように喜んでいた。

雨の中でも走り込みをしたり筋トレをしたりと、入間くんも頑張っている。



そしてその反動か、いつもより少しだけ食欲が強い。
目の前に沢山の料理が盛られた大皿をぺろりと完食してしまった。

初見はその大食いっぷりに驚いたが、何日かすれば見慣れてしまった。クララが大皿を持ってきて、アズくんが入間くんに水を差し出す。




「お疲れ様です入間様! あいかわらずの食欲で…」

「ありがとう! お腹ペコペコだったんだ」




入間くんは水を落とした。
おや? と手元に視線を落とし、思わず目を見張った。
入間くんの手は、数日前とはうってかわって、ボロボロになっていた。

その手を見たアズくんが血相を変える。




「手が…傷だらけではないですか!」

「うん! ようやく手に当たるようになってきたんだぁ。取れるまで、もう少しだと思うんだけどね」




しかし当の本人は痛がる素振りなど全く見せず、笑顔のまま話題を逸らしてきた。





「あ、あとね。オペラさんの機嫌なら少し分かるようになったんだ! 耳が…」

「耳が立っていれば機嫌がよくて、垂れてれば機嫌が悪い、でしょ」

「そうそう! すごいねA、分かってたんだ!」




思わず口走ってしまった。
幼少期とはいえ、それなりに長い時間を過ごしてきた。
機嫌くらい、分かるようになる。

クララがアズくんの袖を掴んだ。




「入間ちすごいね! 悪魔って飽きっぽいのに」

「あぁ…入間様は……変わっておられる」




微かにアズくんが微笑んだのを、私は見逃さなかった。
オペラさんの元に戻り練習を再開しようとする入間くんを止め、傷の手当を引き受ける。





「マメは潰れてるし、内出血ができてる…ダメでしょ。こんなになるまで放置しちゃ」

「えへへ…早く上達したくて」



そう言ってはにかむ入間くん。
潰れたマメの汁を拭き取りながら注意をする。




「とにかく、怪我をしたらすぐに正しい処置を取る。いいね?」




はぁい、なんて返事が返ってくると思ってたのに、入間くんは笑った。




「…ふふ、A、オペラさんと同じこと言ってる」

「げっ…うそ最悪!」


「やっぱり仲良しなんだね」

「どこが!!」

歓喜→←応援



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
設定タグ:魔入間 , mirm , オペラ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ペグ(プロフ) - あまねさん» あまねさん、コメントありがとうございます!ご期待に添えるよう、精進します!·͜· ꕤ︎︎ (5月10日 16時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 好きですぅぅ (5月9日 9時) (レス) @page45 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ペグ(プロフ) - めぇちゃりおる.⁠。⁠*⁠♡さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!多忙期により更新が不安定ですが、暖かい目で見守ってください₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (2月15日 15時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
めぇちゃりおる.⁠。⁠*⁠♡ - この作品読んだ瞬間お気に入りになりました!!更新も楽しみにしてます! (2月15日 14時) (レス) @page26 id: 094e17a662 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ペグ | 作成日時:2024年1月30日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。