理解不能 ページ19
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「次の昇級授業に向けて準備するんだ」
「次の昇級対象授業って…処刑玉砲だっけ」
「処刑玉砲…?」
首を捻る入間くん。
どうやら処刑玉砲を知らないようだ。
「Aも入間ちの手助けしよ!」
「え、でも私なんかが役に立つとは…」
「ううん、お願いします!」
私の言葉を遮った挙句、深々と頭を下げてきた。
「入間様は本気で位階を上げたいのだ」と説明を受けた以上、アズくんの圧力には逆らえず渋々着いていくことになった。
「……ねぇ入間くん。昨日の、オペラさんのことなんだけどさ。あのひとから、なんか聞いた?」
「…ううん。なんだか深刻そうだったし、触れない方がいいかなと思って。オペラさんも悲しそうな顔してたから」
「……はぁ? あの念子が? 冗談でしょ」
「冗談じゃないよ! なんか……悲しそうだった!」
「うそ、あのポーカーフェイスが? 信じられない」
「本当だよ! 今日の朝も、少しだけ元気なかったし」
にわかに信じ難い。
オペラさんが悲しそうにしていただと?
仮にそれが本当だとしたら、意味がわからない。
自分から嫌いと言っておきながら、何故悲しくなるんだ。
地下運動場につき、入間くんへの処刑玉砲の説明が始まるも、「考え事に集中させて」と一旦距離をとる。
必死に理解しようと頭を回転させるが、仮説すら浮かんでこない。そういえば、いつだってあのひとの行動は読めなかった。
昔からそうだ。
言葉足らずなくせに行動力があって、いつも驚かされてばかりいた。
メリットなんてないのに、ボロボロで死にかけていた私を助けてくれた。
助けられたあとも、子分にして扱き使うことも、悪周期によるサンドバッグにされることもなかった。
むしろ、丁寧に扱われびっくりしたことを、今でも覚えている。
必要最低限の食事や衣服、魔界の言葉、常識、勉強。
赤の他人の私に、無償で生きる喜びを与えてくれた。
しかし、私のことをどう思っているか聞いても、あのひとが答えることはなかった。
だからこそ、理解不能なのだ。
何も言わずに私の元を去ったことなど尚更。
そもそも私が何をしたというのだろう。
いつまでたっても恩を返されないから、恩知らずだと軽蔑された?
それならそうと、言ってくれれば良いのに。
そしたら私は、喜んで恩返しをしたはずだ。
靴でもなんでも舐めれた。サンドバッグにだってなれた。
癒しを求められたら、それ相応の態度を取ることだってできたのに。
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ペグ(プロフ) - あまねさん» あまねさん、コメントありがとうございます!ご期待に添えるよう、精進します!·͜· ꕤ︎︎ (5月10日 16時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 好きですぅぅ (5月9日 9時) (レス) @page45 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ペグ(プロフ) - めぇちゃりおる.⁠。⁠*⁠♡さん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!多忙期により更新が不安定ですが、暖かい目で見守ってください₍ᐢ‥ᐢ₎ ♡ (2月15日 15時) (レス) id: a660ffe1a2 (このIDを非表示/違反報告)
めぇちゃりおる.。*♡ - この作品読んだ瞬間お気に入りになりました!!更新も楽しみにしてます! (2月15日 14時) (レス) @page26 id: 094e17a662 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペグ | 作成日時:2024年1月30日 22時