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その日帰宅すると、駐車場に見たことない女が立っていた。
足下にはペット用のキャリーがふたつ。
煙草を咥えて車に乗り込んで行った。
漠然と気持ち悪さを感じる。
その直感は正しかったと気付くのが30秒後。
自宅の前に呆然と座り込む伊野尾と、その両手いっぱいに抱えられたふたつの命を見付けた時だった。
『や、ぶさ……どうしよう…』
『……………あの女か！！おま、どんな関係！？』
『おかあさん…です。たぶん…。会ってなかったから、自信ないけど……えと、こども、生まれたから…いらないからって、渡されて………あ、だからコレ』
おとうと、です。
駐車場に、女の姿は既になかった。
生まれたばかりの子供をキャリーに押し込んで、15年前に産み落とした息子に押し付けて行った女。
その後彼女に関わる事はなかったのだが、俺の脳裏にはあの傷んだ金髪が深く深く焼き付いている。
哺乳瓶、粉ミルク、オムツ、ありったけのガーゼタオル。
赤ん坊が一晩生き抜くのに必要になるであろう物をドラッグストアで買い漁り、伊野尾の元に戻った。
赤ん坊は、大貴と涼介、というらしい。
名前だけが書き殴られた母子手帳が、辛うじて彼らの人権を証明していた。
『…どっちがどっちだろ』
『分かんねぇ…。とりあえず、こっちのがちょっとデカい？から、こっちが兄貴なんじゃねぇか？』
『じゃあ、大きい方が大貴。こっちが涼介』
そうして双子は俺達の元へやってきた。
だから本当は大貴が涼介かもしれないし、今、涼介と呼んでいる方が兄貴なのかもしれない。
…もう誰にも分からないから、いいんだけどさ。
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ぽん - 更新嬉しいです。とても大好きなお話なので、続きが読めるのが幸せです。 (7月9日 23時) (
レス) @page47 id: d332ed9628 (このIDを非表示/違反報告)
na(プロフ) - 更新嬉しいです！ (2022年9月24日 23時) (レス) @page42 id: 21cfa689f9 (このIDを非表示/違反報告)
絵留(プロフ) - naさん» コメントありがとうございます。返信遅くなり申し訳ありません！書きたいエピソードは沢山あるので、波はありますが更新頑張ります！ (2022年9月23日 18時) (レス) id: 891debb465 (このIDを非表示/違反報告)
na(プロフ) - はじめまして。とても大好きなお話です。全員魅力的で、読んでいて姿が想像できて、楽しいです。また更新してくれることを願ってます。 (2022年4月7日 20時) (レス) @page38 id: 21cfa689f9 (このIDを非表示/違反報告)
絵留(プロフ) - mamaさん» コメントありがとうございます！ぜひ、「推し家族」を見つけて頂ければと思います。これからもよろしくお願いします！ (2022年1月25日 19時) (レス) id: 5f025e1efe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵留 | 作成日時：2022年1月18日 21時
