検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:24,142 hit

人感万事塞翁が虎 ページ1






一杯の茶漬け________。

梅干しに刻み海苔、其れに夕餉の残りの鶏肉
其奴を熱い白湯に浮かべ塩昆布と一緒にかき込む


美味かったなぁ、孤児院の台所で
人目を忍んで食った茶漬けは…


駄目だ、腹減って死ぬ。
僕の名前は敦。故有って餓死寸前です

孤児院を追い出され食べる物も寝る処も無く
勿論金も無く、かと云って盗みを働く度胸も無く
こンな処迄来てしまった……

然し、最早生きたければ盗むか奪うしか無い!



『出て行け穀潰し
お前など此の孤児院にも要らぬ!』

『何処ぞで野垂れ死にでもした方が
世間様の為よ!』




「五月蝿い…五月蝿い、五月蝿い五月蝿い‼」


「五月蝿いよ」


「五月蝿……へっ?」


「私は今読書中でね。
少年、少し口を噤んで貰えるかな」


「あ、済みません…」




何時から居たのだろう。
砂色の外套を纏った其の女性は
河川敷に腰を掛け、本を開き乍鈴の様な声で
そう云った

綺麗な人だな、と思った


……否待て敦。
先刻生きる為に奪うと云ったじゃないか

遣るしか無い。
幸い相手は女性、襲ってでも金品を奪ってやる!




「ぉおおい!」


「ん?」


「か、かか金を出せぇ!」


「…少年、其れは若しかして恐喝の積りかい?」


「ぁ当たり前だ!ぼ、僕は本気だぞ‼」


「うーん其れは困ったねえ、如何しようか」




僕がひ弱すぎるのか、
完全に舐められている気がする……。

女性は顎に手を当てて少し考え、云った




「後十秒程待って貰える?
もう直ぐ私の兄が来る。其の付き人が
屹度君の世話をして呉れるから」


「そ、そンな事信じられる訳___」


「あ、ほら来た兄さんだ」




女性の指差す方を見ると…………ぇ

川を揺蕩う人の脚
こ、此れが此の女性のお兄さん……?




「そうだ少年、兄さんを引き上げてお呉れよ」


「否其れは___」


「まあ人助けだと思って、ほら!」




そう云い僕は女性に背中を押され
川に飛び込んだ

弐→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (47 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
153人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治 , 蓬髪双子
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

はなを(プロフ) - みつばちさん» コメントありがとうございます!そう言ってくださり嬉しいです! (2019年8月9日 1時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)
みつばち(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってくださいね(^_−)−☆ (2019年8月9日 0時) (レス) id: f3e59d4450 (このIDを非表示/違反報告)
はなを(プロフ) - ルルナナです!さん» ありがとうございます!コメント本当に嬉しいです! (2019年8月7日 21時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナです!(プロフ) - 更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年8月7日 20時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
はなを(プロフ) - 銀桜さん» コメントありがとうございす!是非頑張らせていただきます! (2019年8月7日 18時) (レス) id: e980c2186f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:はなを | 作成日時:2019年8月7日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。