雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ46)

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カル「鈴木入間、入学式における暴行行為と校舎の破壊。共犯、アスモデウス・アリス」

ため息をついてカルエゴは語り出す。

カル「——サブノック・サブロ、教師への暴力行為及び校舎の破壊。
アンドロ・M・ジャズ、生徒及び教師の金品盗難…その他器物破損、危険地帯への無断立入、禁止役の持ち出しなど。
入学からクラス決めまでの短期間に起こした事件は数知れず、と言う報告だが」

そう言うカルエゴの顔は酷くやつれている。

イルマ「——まぁ、隔離については納得しましょう。だが、それにしても対応が悪すぎる」

カル「他に隔離できる教室がないのだから仕方ないだろう」

カルエゴの台詞に、冗談はやめてくれよ、と言ったふうにイルマは笑う。

イルマ「おいおい、あるだろ」

引きつけるように魔を置くイルマ。

その瞳はまるで、獲物を見つけた肉食獣のように怪しく光っている。

イルマ「——王の教室(ロイヤル・ワン)を開けろ」

王の教室、かつて魔王が使用したとされバビルスによる徹底保存の元、現在は使用されていない。

カル「あそこは我が校が誇る名誉教室だ。貴様ら如きが使用するなど身の程をしれ」

雰囲気が変わる。

可視化できるケルベロスがカルエゴの後ろでアブノーマルクラスの面々を威嚇する。

カルエゴの許可さえあれば、ケルベロスは一秒と経たずに攻撃を始めるだろう。

イルマ「なら、証明しよう。俺たちが王の教室を使用するに足る生徒だと。バビルスの教員、その過半数から教室移動を認める許可証を1週間以内に集める。——いかがです？」

カル「…教職員全員の許可書、３日以内」

カルエゴが重々しくそういう。

イルマ「はーい、交渉成立」

しかし、そんなもの気にも止めずイルマはご機嫌に立ち上がり扉へと向かう。

それに従ってクラスメイトはついていく。

しかし、一人だけそこに佇む生徒がいる。

彼女は普段とは一変した風貌と態度でカルエゴに向き直った。

A「約束、破らないでくださいね。せんせ」

その瞳は細く、睨んでいるようにも微笑んでいるようにも取れた。