雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ32)

今日:33 hit、昨日:29 hit、合計:18,215 hit

３１ページ32

A「イルマさま‼︎」

修業の成果を見て私はイルマさまの側に駆け寄る。

A「兄さんに胸を張って報告できますね」

やったー、とハイタッチを交わす。

イルマ「うん‼︎」

それはそれは嬉しそうに形の変わったランクのバッチを見るイルマさま。

その様子を微笑ましげに見守ってると、後ろからニュッと飛び出てくる気配。

一瞬肩を振るわせる。

A「なんだ、アズか」

すっかり見知った人物に安堵する。
いい
本人はといえば、どこか落ち着かないような雰囲気でソワソワと、若干恥辱を見せたような表情で悶絶していた。

アズ「おいっ‼︎」

かと思えば素晴らしい勢いで怒鳴り出した。

A「はい」

アズ「その…すまなかったな」

語尾に近づくにつれ声色が弱くなる。

A「ん？あぁ、大丈夫だよ。私も強く言いすぎたしお互い様」

私が興奮して忘れかけていたさっき(・・・)のことを気にしていたようだ。

なるべく言葉を選んで返すとアズは安心したように顔の強張りを解いて、さっそくイルマさまの元へ向かった。

＿＿＿＿＿
その日の晩、事件は起こった。

辺りはすっかり暗くなり、帰宅し処刑玉砲の報告をしていた時のこと。

イルマ「無我夢中になるほど試合が出来ました。特訓のおかげです。だから＿＿」

イルマさはパァッと顔を緩める。

その様子を頷きながら見つめるサリバンさま。

イルマ「＿＿本当にありがとう、オペラ(・・・)さん‼︎」

兄さんの耳がピンと立つ。

嬉しい時に見せる仕草だ。

サリ「な、なぜ…僕だって特訓に………何もしてない」

ここ数週間を思い出してサリバンさまは顔を固まらせた。