雪の降る日に捨てられた悪魔 (ページ3)

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A「あとは…特になしと」

買い出しのメモを見て、確認をする。

屋敷に帰ってもあと2時間は昼食まで余裕があるだろう。

A「今日は客人が来るみたいだから、粗相の無いように」

囁いて帰路に着く。

途中店のウィンドウに飾られる品々を見て心が浮き立つが、給料日前なので我慢だ。

A「ただいま戻りました」

客人が来るようなので、裏口からこっそりと入る。

買ってきた品々を片付けて、次は洗濯物。

サリバン邸は大きさの割に人が全然居ないので意外と少なくはあるが、それでも時間のかかる作業だ。

ワインの染みなんかが出できた暁には殺意すら湧きうる。

干す作業も終えて、暇が出来たので庭の畑に水をやる。

A「兄さんいなくない？｣

この時点で私は兄の姿を1度も目にしていない。

屋敷が広すぎる故にすれ違っているのだろうか。

A「どこいったんだろう」

オペラ「ここですよ」

後ろに気配を感じ、思わず距離をとる。

A「っ、びっくりした」

オペラ「サリバンさまがお呼びです｣

珍しくお呼び立てられた。

お小遣いをくれる時は兄さんを通さず、こっそりとくれるのに。

なんだろうと不思議に思いながら兄さんと廊下を歩く。

途中で思い出したように、まだまだだな、と首を振る兄さんには久しぶりに殺意を覚えた。

A「お呼びでしょうか、サリバンさま」

主が居るであろう部屋に入り、礼をしたところで私は1歩後ろへ後退する。

"美味しそうな匂い"

キュルと意識が周り、悪魔としての本能がざわめきたつ。

ここに捕食対象が居ると。

そんな思惑は態度に出ていたのか、頭に衝撃が降ってくる。

オペラ「こら」

軽いチョップに見えるのだろうか。

非常に痛い。

A「も、申し訳ありません」

捕食対象、それはサリバンさまの他にもう1人。

椅子の上にちょこんと座る青い髪の少年であろうか。

どこか、甘い匂いがする。

サリ「イルマくん、この子がさっき言ってたAちゃんだよ。
可愛いでしょ、イルマくんと同じ歳なんだ。
Aちゃん、食べようとしたらだぁめ、仲良くするんだよー｣

サリバンさまは私をお客人に紹介したのであろうか。

それでは、私にも紹介して頂きたい。

お客人のことを。