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クイーンがネフェルティティの微笑みもといリンデンの薔薇を日本の星菱大造から62日後に盗み出す、という予告状を送ってから実に一月以上が過ぎていた。
クイーン「人間、やっぱり目標を持って取り組むという事は大切だね」
クイーンが指定した62日と言う長い期間
それは、今トルバドゥールの中に居る猫たちのノミを一匹残らず退治して、新しい飼い主を見つける為に使われていた。
一日一匹のノミ駆除をノルマとしたクイーンは、ノルマを終え、シャワーを浴びた後例外なくちょっかいをかけにキャビンへ来ていた。
ジョ「話しかけないで下さい。僕は僕で忙しいんです」
そんなクイーンを鬱陶しそに睨みつけるジョーカー。
ジョーカーは只今、クイーンの気まぐれで積み重なる猫たちの里親希望のメールや手紙を処理している。
A「クイーン‼︎」
そんなジョーカーの苦労を分かち合おうともせずに、乱暴にキャビンの扉を開けたA。
クイーン「何かあったのかい?」
A「ええ、大有りよ」
Aは眉と声を顰めて続ける。
A「この子、一度も飼い主希望が現れてないの。他の子たちは皆一度は希望を出されているのにですよ?」
抱かれた猫がクイーンの眼前に出される。
募集を呼びかけているネットホームページにはAが丹精込めて撮りあげた各々の猫の写真を載せてあり、どの猫が欲しいのか目安程度に投票出来るようになってある。
皆、一度は選ばれたことがあると言うのに、Aが抱える子には一度も票が入らないと言うのだ。
クイーン「うーん、それは困ったね」
目を閉じて考え込むクイーンにAはでしょう‼︎と言って提案する。
A「このまま、適当な所へ送られて可哀想な思いをするかもしれないなら私が飼ってあげたいの」
お願いします、と上目遣いで強請るA。
クイーン「そうだね、飼い主が見つからないのであればそれも検討しようか」
チョロいという印象をうめつけたくないクイーンは、可愛らしく強請るAに威厳を見せようと精一杯顔を作った。
A「やったぁ‼︎名前はもう決めてあるんです」
しかしAは了承は得たと言わんばかりの勢いで猫と共にクルクル回る。
クイーン「名前を付けるのはまだーー」
A「何色の首輪が良いと思います?あ、部屋に糸が有るから私が作ってあげよう。」
楽しくなってきたー!と嵐のようにAはキャビンを去って行った。
クイーン「……ジョーカーくん、一匹飼い主が見つかったようだよ」
ジョ「威厳もへったくれもありませんね」
クイーン「…………」
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作者名:ラーメン | 作成日時:2023年7月22日 1時