怪盗の美学を理解するにはまだ未熟者であったようです (ページ44)

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クイーン｢君には芝居の気とか役者根性というものがないのかい？｣

ジョ｢だから、前からいってるでしょ！
僕は怪盗のパートナーであって、役者じゃないんで
すよ！｣

魔工場の裏で朱マネージャーと李龍狼が言い争っている。

その様子を"また始まった"と何処か楽しそうな目見ている小蘭。

今や二人のの声は、朱と李ではない。

クイーンとジョーカーに戻っている。

[やっぱり無理だったんですよ、クイーン。
芝居っ気」というものは、ジョーカーから一番遠いものだということが、さっきの撮影でわかりました。］

3人のの耳につけられた超小型受信機から、RDの声がした。

ジョ｢偉そうに言うけどRDだって演技できないだろ。」

ジョーカーが、奥歯に仕込まれた小型送信機を使う。

［なにをいうんですか、ジョーカー。
私は歌って踊れる人工知能ですよ。］

A｢じゃあ、帰ったらRDの踊りを見せてもらいましょ、今はそれよりも貴方が李龍狼という役を演じ切れるかが問題じゃない。
もう少しくらい演技をしないと正体がばれるわよ」

AがジョーカーとRDの口喧嘩がはじまりそうなのを、止める。

クイーン「大丈夫、どんな役者にもNGはあるさ。
それより、はやく監替のところへ帰って、撮影の続きをしよう｣

クイーンはジョーカーを励ます。

クイーン「私も一緒に謝ってあげるから。」

ジョ｢一緒に謝ってくれるより、龍狼役をかわってほしいんですが───｣

クイーン「それはできない相談だね。」

ジョ「できない理由は？
①めんどくさいから。
②『ロンロン』という名前がイヤだから。
③ぼくが困ってる姿を見るのが楽しいから。
④難しいからととかわっていたら、僕のためにならないから、どれですか？」

クイーン｢④にきまってるじゃないか。」

A「いいえ、⑤のアルバムに華を添えたいから、よ。」

Aの答えにクイーンは一瞬固まり

クイーン「とにかく、仕事の選り好みはよくないよ。プロなら、あたえられた仕事に全力を尽くさなきゃ」

美顔で、クイーンがジョーカーの肩をたたいた。