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ようやく3人に順番が回ってきた。
3人が身分証明書を調べられている間にクイーンが小声でジョーカーとAに囁く。
クイーン「きっと、この私設自警団の連中は、香港の黒社会から流れてきたんだろうね。」
ジョ「黒社会って、なんですか?」
A「暴力団のことよ。
暴力団の連中は黒い服ばかり着てるでしょ?
だから黒社会っていうの」
この間クイーンに教わったわ、とAは胸を張って言った。
ジョ「東洋の神秘だね。」
[クイーン、いいかげんな説明はダメですよ。
たしかに黒社会は暴力団のことですが、服の色とは関係ありません。]
RDが口を挟み、それを聞いたAはなんとも言えない避難の目をクイーンに送った。
そのとき、机に向かって身分証明書を調べていた男が、顔をあげた。
「李龍狼…そっちは妹の小蘭…」
2人ををギロリと睨みつける。
ジョ「ばれたんじゃないですか?」
A「全く、面倒くさいことにはならないといいけど…」
クイーン「おかしいな。」
[ばれるわけありません。
世界最高の人工知能である私が創ったんですよ」
こごえ
小声でいいあう、ジョーカーとクイーンとAとRD。
頬に傷のある男が立ちあがった。
ジョ「どうします、倒しますか?」
その発言に、Aは戦闘態勢を取りやすいように静かに足を肩幅に開いた。
A「先手必勝」
クイーン「うーん…最初から、目立つことはしたくないんだけどな…」
【だから、ばれるわけありませんって!]
小声でいいあう、ジョーカーとクイーンとAとRD。
頬に傷のある男が懐から万年筆をだした。
「俺あんたたちのボファンなんだ、サインしてくれないか。」
ジョーカーの頬を冷たい汗が流れる。
サイン───ある意味、正体がばれるよりも、ジョーカーにとっては、おそろしい事態だ。
ジョ「どうしましょう?」
クイーン「サインしてあげればいいじゃないか。」
[ファンは大切にしなきゃダメですよ。]
ジョ「どんなサインなんです?
漢字ですか、アルファベットですか?」
困惑するようなジョーカーにAは、奥歯の通信機で言う。
A「これだから素人は───」
勿論、表情にはとても可愛らしい笑顔を浮かべている。
万年筆を丁寧に受け取り、男の名前を聞いて𓏸𓏸さんへ♡、とサインを書いた。
A「ごめんなさぁい、哥哥は今新作ぅ映画の撮影でぇ緊張してるのぉ、だからぁ私ので我慢して?」
小首を傾げてAはフォローを入れた。
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作者名:ラーメン | 作成日時:2023年7月22日 1時