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ジョ「…前にもこんな辞書を作ってましたね。」
クイーン「第二版だよ。」
冷ややかなジョーカーに、クイーンは笑顔でVサインを送った。
ジョ「仕事をする暇はなくても、こんな辞書をつくる時間はあるんですね。」
ジョーカーが、部屋の隅に辞書を投げ捨て、RDが、すかさず送風孔から風を吹きだし、それをダストシュートに捨てた。
その様子を見ながら、AはRDにアップルジュースを注文し、[零さないでくださいね]というお小言を交わしてそれを受け取る。
クイーン「第三版に期待してくれたまえ!」
クイーンは、へこたれない。
この不屈の根性を、仕事にむけてくれたらいいのにと、ジョーカーは、ソファーに寝ころんでいるクイーンを見て、そう思った。
ジョ「僕には勤労意欲の塊である貴方が、どうして仕事をしないのかが不思議なんですけど。」
ジョーカーは、思いっきり皮肉を込めて言った。
クイーン「しかたないじゃないか、怪盗の美学を満足させるような獲物がないんだから。」
とぼけたようなクイーン。
ジョ「それで、どういう獲物なら、怪盗の美学を満足させるっていうんですか?」
冷静にきくジョーカーにAは、またやってるよ、と呆れた目線を向けた。
クイーン「そんな難しいこと、中々ひと口じゃ説明できないね」
あっさりと答えるクイーン。
殴りかかろうとする自分の右手を、ジョーカーは左手で抑えた。
そんなジョーカーにお構いなくクイーンはソファーの下から新聞をひっぱりだす。
パサパサと新聞を広げ眺めるクイーン。
そして、つぎの瞬間クイーンがソファーに起きあがった。
真剣な目で記事を読んでいる。
ジョ「どうしたんです?
新製品の玩具でも、のってるんですか?」
ジョーカーの質問に、肩をすくめるクイーン。
クイーン「大きくなったと思っても、まだまだ子どもだね。
私のように勤労意欲にあふれた人間が、玩具の記事に興味をいだくわけないじゃないか。」
対象年齢三歳以上の玩具で遊んでいたクイーンにいわれ、ジョーカーは、暗い殺意が湧き上がっててくるのを感じた。
「ここを読んでみたまえ。」
クイーンが見せたのは、小さな囲み記事だった。
ひととおり読みおえたジョーカーは、首をかしげながら記事をAに渡す。
ジョ「とても興味を引く記事とは思えませんね。王嘉楽という香港の大金持ちが、誕生パーティーを開くだけの記載じゃないですか」
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作者名:ラーメン | 作成日時:2023年7月22日 1時