怪盗の美学を理解するにはまだ未熟者であったようです (ページ21)

今日:6 hit、昨日:35 hit、合計:1,127 hit

20 ページ21

───
知育おもちゃバランサー。

寝ころんだカメの上に角材を積み上げることで遊びながら、お子さまのバランス感覚を育てます。

セット内容：角材二十本

カメの台座

対象年齢三歳以上
───

ジョ｢……………｣

ジョーカーは、部屋の中を見周した。

「バランサー」と書かれた同じ箱が、何十個も転がっている。

散らばっている角材は、千本を超えているだろう。

いま、ジョーカーはすべてを理解していた。

退屈で時間を持て余しているクイーンは、暇を潰すために、相棒のAと、人工知能のRDとで『バランサー』というゲームをしていたのだ。

(ちなみに、そのゲームは「象年齢三歳以上」)

ジョーカーは、視線をクイーンに向ける。

ジョ「仕事もせずに、なにをやってるんですか？」

「仕事もせずに」のところを強調する。

「二人とちょっとしたゲームだよ。」

相変わらず、拗ねたような口調で、クイーンが答える。

そんなことは、言われなくてもわかっている。

ジョーカーの邪眼に暗い光が増した。

ジョ「このゲーム、対象年齢三歳以上なんですね。」「

クイーン｢だからやってるんだよ、私が二歳児に見えるかい？」

皮肉っぽい言葉も拗ねているクイーンには届かない。

精神年齢は十歳ぐらいに見えます。

IRDはそう思ったが、口にだしはしなかった。

しかし、

「ジョーカーくんが邪魔さえしなかったら、私が勝ってたのに、残念だよ」

というクイーンのセリフには黙っていなかった。

［今の言葉は聞き捨てなりませんね。］

きっぱりとRDがいう。

［あの調子でゲームが続いてれば、Aが1089手めで失敗し、私が勝っていました。｣

クイーン「それこそ、聞き捨てならないね！」

二人の喧嘩は激化し、Aは、ふん！とそっぽを向く。

その様はクイーンにそっくりだ。