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犯行予告日。
星菱邸の遥か上空でトルバドゥールはたたずんでいた。
RD『高度二万8千フィールド」
キャビンの先端、ハッチの床が開かれクイーンは降下準備を進めていく。
黒いボディスーツに身を包んだクイーンは、普段の様子からは考えられないほど‘’ちゃんとしていた‘’。
クイーン「こちらは準備完了。いつでもいいよ。」
そういった真面目なクイーンは久しぶりだな、と感慨深くなっていた時、クイーンは再び口を開いた。
クイーン「私が帰ってくるのを楽しみに待っていてくれたまえ。ちゃんと‘’リンデンの薔薇‘’を持ってくるよ。あとーー」
和かに笑うクイーンの真っ白な唇は言葉をかたどり続ける。
ジョ・A「「あと?」」
クイーン「この仕事が終わったら暇になるだろう?ノミとりをする為の犬を二、三匹連れてこようかとーー」
ジョ「降下‼︎」
ジョーカーは臭いものに蓋をするように降下を命じた。
瞬間消えるクイーン。
雲が点々としている辺りに
クイーン「じょ〜だぁ〜ん、だぁ〜よぅ〜」
となんとも締まらない声がこだました。
A「クイーン‼︎盗るなら白犬が良いなぁ!!」
若干冗談には聞こえなかったので要望を叫んでおく。
RD「クイーン、自由落下のスピードで降下中」
RDも機械音を響かせた。
暫く体を乗り出して下を見ていると、無言のジョーカーがAの体を鷲掴み降下口の傍から引き離す。
A「ねぇ、ワイヤー切ったらクイーンはどうなると思う?」
落ちるようなヘマはしないのに、と思いつつ引きづられながらAは聞いた。
RD『計算不能です』
ジョ「やってみるかい?」
二人は淡々と答えた。
その表情と声音には日頃の恨み辛みが積もっていた。
まぁ、RDに表情は無いが。
A「いや、流石に大丈夫」
慌てて首を横に振ればジョーカーは肩を落とす。
ジョ「じゃあ、もしクイーンがリンデンの薔薇以外に野良犬をトルバドゥールに入れようとしたら、その実験をやってもらうとしよう。頼んだよRD」
RD『了解』
その言葉に安心を覚えたジョーカーは最後の一仕事と言わんばかりにAを担ぐと彼女の自室まで運んだ。
A「私まだ眠くないわ」
途中、Aはアヒル口を作る。
ジョ「パジャマ着て、ナイトキャップまで被ってる人が何を言ってるんだ」
いつもの事だ、と流しながらジョーカーはAをベッドに横たわらせ布団を掛ける。
A「お揃いだね」
ジョーカーの頭にあるナイトキャップに触れるとAは力尽きたように目を閉じた。
ジョ「良い夢を」
ぶっきらぼうにそんな声が耳の奥で聞こえる。
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作者名:ラーメン | 作成日時:2023年7月22日 1時