怪盗の美学を理解するにはまだ未熟者であったようです (ページ2)

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午前八時

いつも通り自然と目を覚ます。

ここ、超弩級巨大飛行船、トルバドゥールでは人工知能のR Dが完璧に空調、時間の管理をしてくれているお陰で、雲の上においても正常な生活を送ることができている。

とは言っても、もう長いこと心から身を休められる所で寝食をしているせいか幼い頃と比べて起床時間はぐんと遅くなった。

楽に着れるという理由だけで毎度選ばれるワンピースを身に纏い、寝癖を梳いて自室を出る。

欠伸を漏らしながらキャビンに行けばそこには既に朝食を取り終えたジョーカーと、RDがクイーンの怠惰さを更生させる会議をしていた。

A「おはよう」

RD『おはようございます』

RDの挨拶を耳にしながらジョーカーの隣に腰をかける。

A「おはよう」

挨拶がジョーカーからは返ってこなかったので、も一度挨拶をする。

ジョ「……」

A「？、なぁに、見惚れてるの？」

挨拶が耳に入っていないかのように食い入る様にこちらを見つめるジョーカーに問い掛ける。

ジョ「…随分起床時間が遅くなったなと。君がクイーンのようになってしまわないか心配になるよ。」

溜め息を吐きながら眉間を抑えるジョーカー。

A「まぁまぁ、そんな堅いこと言わないで。クイーンはこの間だって仕事を終わらせていたでしょう？」

RD『正しくはこの間では無く、234日前です。』

フォローを入れようとしたがRDがそれを阻止した。

ジョ「クイーンは、まだ寝ているのかい？」

RD『はい、クイーンのプライベートルームが開く様子は一向に有りません。』

ジョ「………」

またしてもジョーカーの溜め息。

あまりの重さの溜め息に私は耐えられそうも無かった。

A「あー、ちょっとトレーニングルームへいってくるね。」

口実を作り上げ私はキャビンを後にした。