【○魂】思い出に囚われて【wrwrd】 (ページ1)

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PROLOGUE ページ1

焼けた荒野を、ただ一人見つめる。

全て無くなってしまった。

仲間も、部下も、敵すらも。

何の皮肉か、我々の愛した戦争によって、我々は滅びたのだ。
いや、本望であったのかもしれない。

唯一残った、軍基地の中心に植えていた大きな桜の木。
その下に、仲間たちの亡骸を集めた。

自分の命を救ってくれた総統閣下は、大きくなった軍の中心でいつも楽しそうだった。

それに賛同して、文字通り死ぬまでついていった幹部たち。

彼らの亡骸に最大の敬意をはらって敬礼をし、桜の木ごと火をつけた。

最後、軍の腕章が灰になるまで、見届けた。

ふと、故郷に置いてきた弟たちと先生を思い出した。

あの日から時間が経っているし、彼らが自分のことを覚えているとも限らない。

けれど、今縋れるのは、埃を被ったその思い出だけ。

唯一の繋がりであるドッグタグを首に下げ、弟からもらった刀を手に取る。

流れ続ける涙は、気づかないフリをした。